NTTドコモとビットワレットが明かすマーケティングへの活用法

守屋 学氏

守屋 学氏
NTTドコモ プロダクト&サービス本部
マルチメディアサービス部
クレジット事業担当部長

 電子マネーは、コンビニだけでなく、スーパーやファミリーレストラン、ファストフード、カフェなど、購買単価が低く、スピーディな決済が求められる業態を中心に加盟店開拓が進められている。今後、ますます利用シーンは増えそうだ。しかし、一方で「小額決済事業だけで採算をとるのは難しい」(守屋学氏 NTTドコモ クレジット事業担当部長)というのが各社の共通認識。小額決済だけにとどまらない新たなビジネスモデルを模索し、ネット決済や高額決済市場へのアプローチなど、各社でさまざまな取り組みが行われている。なかでも、新たな試みとして注目されるのが、マーケティングへの活用だ。

 Edyを運営しているビットワレットが6月からスタートしたのが「Edyスマイルクーポン」と「Edyハッピー優待」。これは、ユーザーがあらかじめ同社のサイトで登録しておけば、対象店でEdy決済した後に、Edyギフトによる還元が受けられるサービスだ。飲食店や紳士服店、タクシーなどが対象店になっており、例えば、居酒屋の「甘太郎」であれば、Edyで月間1万円以上利用すると、Edyギフトで2000円分の還元を受けることができる。既存のクーポンと違って店員にいちいち見せなくて自動で還元が受けられるのが新しい。

宮沢和正氏

宮沢和正氏
ビットワレット
執行役員常務 事業戦略本部長

 スマイルクーポン、ハッピー優待は、Edy利用額に応じて飲食店など店側がビットワレットに報酬を支払う「成果報酬型のマーケティング支援サービス」となっている。単価の底上げや来店頻度の向上を狙って、店側は特典内容やクーポン利用の条件を自由に変えることができる。現在の対象店舗は5000店だが、08年3月までに1万店での導入を目指す計画。店舗側からの評判も良く、「第二段としてメーカーの販促に使えるような仕組みを構築していきたい」(宮沢和正氏 ビットワレット 執行役員常務 事業戦略本部長)考えだ。

 iDで支払うと同時に、レストランカードやクーポン券などをケータイに配信するNTTドコモの「トルカ」サービスにも注目。今後、企業の販促ツールとしての採用が本格化しそうだ。ローソンやファミリーマートのほか、マクドナルドでの利用も予定されている。

 ユーザーの属性や購買履歴を正確に把握し、分析・利用できるのは、現金決済にはない、電子マネーならではの強みだ。現状では活用されていないが、将来的には、コンビニの品ぞろえや商品開発などへの活用も有望視されている。購買情報をマーケティングに活かすことで、ユーザーや加盟店に十分なメリットを提供する仕組みができれば、電子マネーの普及にさらに弾みがつくだろう。

プロフィール

著者 佐藤 温(さとう・あつし)

守屋 学氏

95年に慶應義塾大学経済学部を卒業後、同年証券会社に入社。98年に退社後、日経ホーム出版社に入社し、「日経マネー」「日経トレンディ」の編集記者として約8年間勤務。日経トレンディでポイントプログラムの相関図をまとめた日本初の「ポイント交換マップ」を作成したことを契機に、ネットによるポイント交換案内サービスを発案。06年10月に株式会社ポイ探を設立する。07年2月より、日本インターネットポイント協議会監査役。