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変わる銀座を読み解く! 鍵は有楽町との“融合

 「大人の街」として知られてきた銀座が、今、大きく変わろうとしている。今年9月にリニューアルオープンしたプランタン銀座、通りを挟んだ向いには、東急ハンズなどがテナントとして入る新たな商業施設、マロニエゲートが開業。さらに念願の銀座エリア進出を果たした有楽町マルイを擁する有楽町イトシアも今月12日にオープンしたばかりだ。

 こうしてみると有楽町に隣接する銀座2丁目、3丁目や有楽町側が活気づいているのが顕著だ。銀座の変化の方向性は、有楽町との融合と言っても過言ではないだろう。「20代から30代のオシャレに関心の高い女性を主な顧客層として狙いを定めている」と丸井の芥川厚広報室長。重厚で老舗のイメージが強く、顧客の年齢層も高めな銀座の中心部とは異なり、有楽町と融合する「新しい銀座」は、丸の内で働くOLなど比較的若い女性層を対象にした格好の集客装置として活性化している。

 今回の有楽町銀座化の動きには兆しがあった。バブル崩壊以降、しばらく目だった動きがなかった銀座の街は、21世紀に入ると急に動きがあわただしくなった。海外ブランドが相次いで大型店を出店し始めたためである。2000年、松屋銀座の1階にルイ・ヴィトンが旗艦店をオープンしたのをきっかけに、2001年にはエルメス、2002年コーチ、2003年カルティエ、2004年シャネルと毎年のように海外ブランドの進出が続いた。この動きは現在も進行中で、中央通り沿いに今年11月、11階建てのアルマーニ銀座タワーと10階建てのブルガリ銀座タワーがオープンする。

 「銀座は賃料や土地代が高くても、売上げをともなうのが大きな魅力。ウインドウショッピングではなく、財布を開けて実際に買い物をしてくれる客が確実にいる街だからこそ各社が競うように出店する」(業界関係者)。

変化は「マロニエ通り」で起こった

 銀座の再開発事情に詳しい不動産会社、ディック・エンタープライズの増田富夫専務によると、有楽町銀座化のそもそもの発端は7年前のルイ・ヴィトン開業にあったという。

有楽町イトシア

有楽町イトシアの開業で有楽町駅銀座側出口は一変した

東急ハンズはGINZA HANDS

マロニエゲート内に出展した東急ハンズはGINZA HANDSを名乗る。店の造り、品ぞろえとも他店と一線を画している

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芥川厚広報室長

丸井の芥川厚広報室長。「丸の内、銀座の開発が進むことで、どちらに行くにも拠点となる有楽町駅の利用価値が高まる」と語る

 「プランタンや有楽町西武で買い物をしていた若いOL層が、松屋にできたルイ・ヴィトンショップに行く際の最短ルートがマロニエ通りだった。これによってマロニエ通りの通行量が一気に増え、通り沿いにさらに海外ブランド店が増えた」。一方、親の代から銀座で買い物をしている40代以降の富裕ミセス層も4丁目からマロニエ通りを通って有楽町側に出向くようになった。プランタン銀座、マロニエゲートなどのある2丁目エリアと旧来の老舗百貨店を中心とする4丁目エリアの対決構図のように見えて、実は「相互に集客力を補い合っている。その橋渡し役を担うのが今や中央通り、晴海通りに次いで日中の歩行者通行量の多いマロニエ通り」(増田専務)というわけである。

 むしろ興味深いのは、銀座再開発を巡る「三井」対「三菱」という構図だ。三井不動産は、元々、銀座で多くの賃貸物件を所有、仲介してきた。今年の一連の再開発でも、2丁目には4月開業の銀座ベルビア館、8丁目には9月開業のニッタビルといった商業施設を手掛けている。対して、丸の内の再開発を基点に、ザ・ペニンシュラ東京、マロニエゲートの開業に関わるなど、有楽町側から攻勢を強めているのが三菱地所である。そうはさせじと9月に帝国ホテルをグループ傘下に収め、周辺に所有するビルと共に日比谷の再開発で、外堀を埋めようと画する三井不動産。数寄屋橋交差点に面した東芝銀座ビルを購入し、建て替え再開発を視野に入れる東急不動産も相まって、銀座を巡る再開発競争は予断を許さない状況だ。「再開発や新規商業ビルの建設ラッシュは2015年前後まで続く予定。再開発競争の覇者に誰がなるのかはその時までわからない」と増田専務は語る。

増田富夫専務

松屋にできたルイ・ヴィトンショップが今の変化をもたらすきっかけになったと語る、ディック・エンタープライズの増田富夫専務

 開発競争の結果として、「丸の内からの人の流れと銀座からの人の流れのクロスポイントになった有楽町がかつてないほど賑わっている」(丸井・芥川広報室長)のは、紛れもない事実。1984年に誕生した有楽町マリオンは、当初、「銀座マリオン」と名乗ろうとしたが、銀座の商店会に反対され、やむなく「銀座」の冠を取り下げたと言われている。それから20年余の歳月を経て、ついに有楽町は銀座化を果たしたと言えるほどの活況を手にした。

マロニエ通り

マロニエゲート横のマロニエ通り。この先ににはシャネル、カルティエ、ルイ・ヴィトンなどのブランド店が並ぶ

巻き返しを図る老舗百貨店

 相互に集客の補完効果があるとはいえ、現状は銀座中心部より新たな有楽町側銀座が優位なのは明らかだ。しかし、この流れにも揺り戻しがありそうだ。2010年には、銀座三越が裏手の駐車場ビルを建て替え、高さ56mの新館が完成する。これにより売り場面積は約1.8倍に拡大し、経営統合する伊勢丹の協力も得て、若者も呼べるファッション性の高い店に変貌させる予定だ。松坂屋も三越の動きを睨みながら、同様の手法で2012年には新館を誕生させる。これらが実現すれば、4丁目交差点を中心とする5~8丁目が、再び人の流れを呼び戻すことになりそうだ。「大人の街」としての風格を保ちつつ、銀座は今後も大きく変貌し、拡大し続けていくだろう。

銀座三越

銀座三越は2010年増床オープンの予定。本館・駐車場跡地との一体開発で売場面積は約1.8倍になる見込み