アイテム課金に公式サイト化?新しいビジネスモデルも模索

――アプリタイプのゲームといえば、最近、本格的なMMORPGの提供を開始しましたね。

守安氏:「Master of Fantasia」ですね。実は、このゲームでは、収益モデルの新しい形を取り入れています。これまで、モバゲータウン内のゲームは「無料で提供し、そこからコミュニケーションに結びつける」という位置付けでしたが、今後はゲーム自体から収益を得るモデルというのも考えていこうと思っています。

 今回の「Master of Fantasia」では、PCのオンラインゲームでよく見られる「アイテム課金」のモデルを取り入れています。具体的には、モバゴールドを使うことで、ゲーム内の特別なアイテムが購入できるというものです。現在ほかにも同様の仕組みを採用したゲームの企画が進められているのですが、こうした試みがうまくいけば、新たな収益モデルとしてつなげられるのではないかと期待しています。

――モバゴールドは現在、主にアバターのアイテム購入用に使われていると思うのですが、それを変化させていくということでしょうか?

守安氏:現在、モバゴールドを得る手段としては、友人の紹介、広告主サイトのクリック・入会、有料のプレミアムアバターといったように、さまざまな形が用意されています。一方、それを消費する要素としても、従来のアバターのアイテム購入だけでなく、アバターのアイテムを合成する「合成マッシーン」をはじめとした企画ものや、先に紹介したゲームのアイテム購入といったように、どんどん増やしていこうと考えています。

 モバゴールドを得る手段と消費する手段の両方を増やしていくことで、モバゴールドの流通が増え、それに伴って会員数や売り上げも増えていくのではないかと考えているのです。

――現在でも「プレミアムアバター」のような直接課金モデルは展開されていますが、一般サイトでの直接課金はなかなか難しいのではないでしょうか?

守安氏:有料で購入することのできるプレミアムアバターも、これまで購入手段がクレジットカードとWebMoneyのみでした。ですが、8月にauとNTTドコモのキャリアを通した課金で購入できるようになり、非常に便利になりました。これによって、今後直接課金という形態も広がっていくのではないかと見ています。

――キャリアによる課金の導入は大きいですね。ということは、公式サイト入りを目指す可能性もあり得るのでしょうか?

守安氏:その可能性はもちろんあります。ですが、サービス展開の自由度やスピード感が失われるのであれば難しいかもしれません。レギュレーションの問題などがクリアでき、現在の形を崩さず事業展開できるようであれば、公式サイトにも入っていきたいところです。

NTTドコモ向けメガアプリとして提供される、本格的なMMORPG「Master of Fantasia」。本格ネットゲームを無料で提供するというのも驚きだが、新たにモバゴールドによるアイテム課金を導入するという試みも大きなポイントとなっている 有料で購入する、直接課金モデルを導入した「プレミアムアバター」。NTTドコモやauの端末では、キャリアを介した決済方式も利用可能になった

急増するライバルは怖くない!より上を狙った取り組みを

――最近ではモバゲータウンの成功を見て、それに似たコンセプトの一般サイトが非常に増えています。これらに対して差別化などは考えているのでしょうか?

守安氏:モバゲータウンは既に多くの利用者に支持を頂いていますし、この1年半でゲームやコミュニティなど、さまざまなノウハウや強みを得ています。ですので、同じ路線のWebサイトに対してはそれほど怖いと思っていません。

 むしろ怖いのは、全く異なる面白さを持ったコンテンツが現れて、そちらにユーザーが流れるという可能性です。そうした新しいものが出てきた時に、どのように対処できるかが、今後の鍵を握っていると思っています。

――では今後、どのようなことに力を入れて取り組んでいこうと考えていますか?

守安氏:現在の「無料ゲーム&SNS」という形は、既に多くの方々に認知されているところですので、そこは崩したくありません。そうした前提の上で、先程話しましたアイテム課金であるとか、ゲーム会社とのタイアップを行うであるとか、現在の形にプラスして新しい収益源に結びつけていけるものを用意していきたいですね。基本的には無料で使ってもらうことに変わりはないのですが、その中の一定の割合をうまく収益に結びつけていく仕組みを作りたいと考えています。

 ケータイゲームは相当大きなポテンシャルを持っていると思っています。モバゲータウンはまだ数百万規模ですが、もっと上を狙っていきたいですね。

――ありがとうございました。

筆者紹介 佐野 正弘(さの・まさひろ)
元々はゲームやWeb、携帯コンテンツなどのデジタル・コンテンツを開発するエンジニアだが、一方で黎明期からモバイル・携帯電話に関する執筆を手がけており、最近ではこちらに力を注いでいる。著書に「携帯サイトアクセス向上テクニック」「大人が知らない携帯サイトの世界~PCとは全く違うもう1つのネット文化~」(毎日コミュニケーションズ)など。