いわゆる「ギャルゲー」とは一線を画す、「アイドル育成ゲーム」という新たなジャンルに挑戦したバンダイナムコゲームスの開発陣にインタビューを慣行。2005年にアーケード版でリリースされ、、今年1月のXbox 360での発売、「とかち」現象も記憶に新しい『アイドルマスター』というゲームが、ファンに今も支持され続けている理由を聞いていこう。


バンダイナムコゲームス
コンテンツ製作本部 第1製作ディビジョン 第2製作ユニット 企画3課 マネージャー
坂上陽三氏
Xbox 360版『アイドルマスター』のプロデューサー。開発における製作総指揮、またプロモーションやセールスなども一手に引き受ける。かつては開発者として『ファイナルラップ』や『リッジレーサー』など、レースゲームなどを手掛けてきた

バンダイナムコゲームス
AMカンパニー AMクリエイターグループ
石原章弘氏
2005年にリリースされたアーケード版『アイドルマスター』のディレクターをつとめる。数多くのナムコのアーケードゲームを手掛け、テーマパークに置かれた『ザ・スタアオーディション』は、なんと妻夫木聡や市川由衣などを輩出している

バンダイナムコゲームス
コンテンツ製作本部 第3製作ユニット ディレクター
小野田裕之氏
坂上氏のもと、Xbox 360版のディレクターをつとめる。ゲームの製作以外に、亜美・真美のテーマソングである『ポジティブ!』などの作詞も手掛けるマルチな才能を持つ。代表作は『エースコンバット』『ミスタードリラー』など

実は硬派な「プロデューサー体験ゲーム」に、意外なファン層がついた!?

――まずはあらためて、『アイドルマスター』というゲームがどんなゲームなのかをお聞かせいただけますでしょうか。

坂上:『アイドルマスター』はアイドルをプロデュースするゲームです。アイドル志望の女の子たちとコミュニケーションを重ねて悩みなどを聞きつつ、彼女らをトップアイドルに育てていくという内容になっています。それと同時に、自身もプロデューサーとして成長していかなければいけないんです。

 ゲームの中でもっとも重要なのがオーディションによるオンライン対戦で、全国のプロデューサーたちと、自分の育てたアイドルをオーディションに出して対決させて、それに勝ち抜いくことで人気を競い合う、というのが大まかな内容ですね。

画像は今年1月に発売となったXbox 360版『アイドルマスター』。特にインターネット上で局地的なカルチャーを巻き起こし、異例のロングセラーを続けている。「とかちつくちて」のムーブメントも、ファンの熱意が盛り上げた結果だ
(C)窪岡俊之 (C)2003 2007 NBGI

――もとはゲームセンターのアーケードゲームとしてリリースされた作品ですよね。そのときの評判はいかがでしたか?

石原:2005年にリリースしたんですが、当時見た人は「なんじゃこりゃ!?」って面食らってましたね(笑)。一見、家庭用ゲームっぽいんですが、コンセプトが「アイドルプロデューサー体験ゲーム」でしたので、アイドルを育てることでプロデューサーとして成長していく点を重視していたんです。アーケードゲームとしてリリースしたのも、ほぼ100%オンラインの環境があることを前提に、プロデューサーとして自分が全国何位なのかを強制的にランキングすることで、プレーヤーのモチベーションを上げたかったんです。

 実際にプレーしたお客さんが意識していたのは、女の子とのコミュニケーション重視のゲームだったようで、戸惑っていた方もかなりいましたね。

――いわゆる「ギャルゲー」とは趣が違うんですね。

石原:「アイドルをうまく育てて業界でのし上がれ!」というゲームだったんで、「えっ、こんなに難しいの!?」という声はよく聞きましたね。逆に普段この手のゲームをやらない、シューティングや格闘ゲームなどのアーケードゲームを中心に遊んでいる硬派なゲームファンの人たちがハマッていたという現象もありました。「まさか自分がハマるとは思わなかった」という人も多かったようで、そういう意味では新たなお客さんを開拓できたのはよかったと思います。

――アーケード版のリリース後の反響はいかがでした?

石原:評価は真っ二つでしたね。特にアーケードゲームの場合は、次の機会にお金を入れてもらえなかったらそこで終わりなので、極力続けてもらえるような仕掛けをたくさん入れていたんですが、ハマる人はどこまでもディープに落ちていくし(笑)、合わない人はすぐにやめていくという感じでした。

坂上:当時の僕がこの作品を見たときは、ギャルゲーの雰囲気はなくて、育成と対戦の要素が前面に押し出されていたという印象でしたね。昔のTV番組の「サバイバルオーディション」的な要素が強く、一定の期間にファンの数が増えなければそこでゲームオーバーで、対戦要素が強いことも含めて、かなりアーケード向けの内容でしたよね。

石原:アーケード版のスタイルも「崖っぷち」な感じがよく出ていて、当時一生懸命遊んでくれたプレーヤーはそこを支持してくれたんですよね。ちょうどいい「ドキドキ感」が楽しいって(笑)。

こちらはアーケード版のマシン。ゲームはすべて画面をタッチする操作となる。セリフや歌などはすべて音声となるため、プレーヤーが聞き取りやすいようにヘッドホン端子なども用意されていた

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