ミノルタの大ヒット作「DiMAGE Xシリーズ」の3代目にあたる「DiMAGE Xt」が4月12日に発売される。わずか20mm厚のフラットボディはそのままに、操作系や起動時間の短縮が図られた。ストラップを付けた時に縦型になるように、デザインにも手が加えられた。実売価格は4万9800円前後となる見込みで、シルバー・ブラック・レッドの3色が用意される

 デザインを重視したスタイリッシュタイプのコンパクトデジカメで根強い人気を誇っているのが、ミノルタの「DiMAGE X」シリーズだ。その最新モデルとして「DiMAGE Xt」がデビューした。

 初代DiMAGE Xは、光学3倍ズーム搭載ながらレンズ部分をボディ内に収める屈曲光学系を採用することで、ボディの厚さをわずか20mmに抑えたのが話題になった。次モデルのDiMAGE Xiは、CCDを320万画素にアップして高画質化を図った。

 そして今回登場した3代目の「DiMAGE Xt」は、屈曲光学ユニットの光学3倍ズーム&320万画素という基本性能は受け継ぎながら、機能やデザインを大幅に改良したリニューアル版なのだ。

●薄型ボディはさらにコンパクト化された

 基本的なスペックに関しては、前作のDiMAGE Xiと比べて大きな違いはない。従来機と同じように、光学3倍ズームの機構がちゃんとボディ内に収まっており、ボディがとてもスッキリしている。さらにDiMAGE Xtでは、回路の1チップ化やレイアウト変更などにより、若干ながらサイズが小さくなっており、高さは72mmから67mmへ、本体重量も130gから120gへと小型軽量化されている。

DiMAGE Xと比べて、高さは72mmから67mmへ、本体重量も130gから120gへとコンパクト化された。光学3倍ズーム搭載デジカメでは、ほぼ限界に近いサイズといえるだろう

 デジカメではよく「胸ポケットに入るコンパクトさ」という表現をするが、DiMAGE Xtの場合はシャツの胸ポケットに入るのはもちろんのこと、ジーンズのポケットに入れても違和感がないほどの小ささだ。

 また、新たに専用チャージスタンドが付属するようになり、このスタンドにDiMAGE Xtをポンと置くだけで充電できるようになった。残念ながら、このスタンドは充電専用で、パソコンへのデータ転送はケーブルを直接本体に接続しなければならない。

 ほかにも、動画撮影の制限時間がなくなり、SDメモリーカードの容量いっぱいに記録できるように変更されたのも注目点の1つ。320×240ドットで撮影できるので、Webサイトにアップする動画ならば十分使えるだろう。また、最大180分までの録音機能も搭載しており、インタビューのボイスメモ用としても便利に活用できる。

 背面の操作部分に関しても、細かな改善が行われた。たとえば、撮影・動画・再生のモード変更がレバー式からダイヤル式に変更され、よりテキパキと確実に操作できるようになった。また、メニューや消去などのボタンの並びを改良したり、右上にある左右キーをカスタマイズできる機能も加わっている。このボタンには、露出補正やホワイトバランス、感度設定などの機能を自由に割り当てられるが、実際には標準で設定されている露出補正機能をそのまま使うのがベストだろう。

背面パネルは、前作のDiMAGE Xiまでの雰囲気を色濃く残しているが、細かな部分でいろいろ改良が加えられた。従来はスライド式スイッチだったモード切り替えが、DiMAGE Xtではダイヤル式に変更されて動画やSETUPを簡単に選べるようになったのが大きな違い

 ズームイン・ズームアウトは、従来機と同じように右上のレバーを上下に倒して行う仕組みだが、このレバーの中心が押せるようになり、実行ボタンとして割り当てられたのも大きな改良ポイントの1つだ。従来の実行ボタンは液晶パネルの下にあり、指の移動距離が大きくて操作しづらいという欠点があった。この改良により、右手の親指だけで主要な操作が直感的に行えるようになった。

●起動の高速化はバッテリーの持ち時間向上につながる

 電源オンから撮影可能になるまでの起動時間は、DiMAGE Xiの1.2秒から1.1秒に短縮された。これは、光学ズーム搭載機の中では世界最速と発表されている。そのため、ふだんは電源を落としたままで持ち歩き、撮りたいと思った時に電源を入れて構えても、大事なシャッターチャンスを逃すことなく撮影できる。この点は、DiMAGE Xtをはじめとする小型デジカメでは、とても重要なことなのだ。

新たに充電用のチャージスタンドが付属し、本体を置くだけで充電できる。ただし、パソコンへの接続はこのスタンドを利用せず、USBケーブルを本体に接続しなければならないのがちょっと面倒 メモリーはSDメモリーカードで、バッテリーは専用のリチウムイオン充電池を採用する。バッテリーのサイズが小さいため、持ちはあまりよくない。旅行で撮影するなら、スペアのバッテリーを用意するか、チャージスタンドも持って出かけたほうがよさそうだ

 というのは、小型デジカメは内蔵バッテリーが必然的に小さくなるため、電池切れになるのも早い。そのため、バッテリーを持たせるためにマメに電源を落とすことが必要とされた。しかし、多くのデジカメは電源を入れてから撮影可能になるまでの時間が長いため、いちいち電源を落としていてはシャッターチャンスを逃してしまいがちになる。

 その点、DiMAGE Xtならば前述のように起動時間がきわめて短く、安心して電源オフの状態にしておけることから、電池を長く持たせることができる。ささいなことのようだが、小型デジカメでは重要なファクターといえよう。

●くっきりとした発色が特徴の画像が撮影できる

 光学系では、マクロが最大で15cmまで近寄れるようになったのが改良点だ。旧モデルでは20cmだったから、花のクローズアップなどもギリギリまで寄って撮れるだろう。また、DiMAGE Xtはマクロ専用モードがなく、通常モードのままでシームレスにマクロ撮影が行えるのが便利だ。

光学ズームがない単焦点モデルのように見えるが、ボディ内部に光学3倍ズームレンズを内蔵しているのだ。ちょうどロゴのある部分にレンズが縦に並ぶように入っており、潜水艦の潜望鏡のように90度傾けたミラーを入れて屈折させている

 ただし、レンズを広角いっぱいにした場合、周辺部の画像がやや湾曲するのが気になった。マクロ撮影ではそれほど気にならないのだが、広角側にしてビルなどの四角い物体を撮ってみると、ビルがゆがんで見えてしまうことがあった。撮影を行う際は、ゆがみや傾きが不自然にならないように構図を工夫する必要があるだろう。

 気になる画質は、このクラスのデジカメとしては十分に満足できるものだ。曇天の日の撮影でも空の青さが感じられたり、日陰で撮影した花の色もクッキリと出た。人によっては「色が派手すぎる」と感じるかもしれないが、このクラスのデジカメでは色がしっかり出る方がユーザーの満足度が高い。細部までシャープに撮影できることと合わせて、バランスのよい画質といってよいだろう。

曇天の日のわずかな晴れ間に撮影。空が白く飛んでしまうかと思ったが、微妙な空の青をちゃんと出している。建物の外壁の色も見た目とほぼ同じに記録され、しっかりとした色表現をしていることがわかる(1/180秒、F6.7、ISO50) 暗いカフェの中で撮影。窓の外の明るさにどこまで引っ張られるか興味があったが、きちんと室内の露出に合わせて撮影してくれた。暗い部分にやや粒子状のノイズが乗っているが、気になるほどではない(1/125秒、F2.8、ISO50)

 陰影のある被写体では、暗い部分にややノイズが乗ってしまうが、新しく搭載されたノイズリダクション機能によって軽減できるようになった。これは、被写体が暗い場合のみ自動的に働き、撮影後に「オートノイズリダクション機能が働いています」という表示が出て処理を行ってくれる。もちろん、ユーザーが任意に機能をオフにすることも可能だ。

 DiMAGE Xtには、絞りやシャッタースピードを任意に設定できるマニュアル撮影機能がなく、オートモードのみの撮影となる。ところが、シャッタースピードを速めに設定する傾向が見受けられるのが気になった。

 コンパクトデジカメでは手ブレを防ぐため、シャッタースピードを速くするように露出を設定する機種が多いが、DiMAGE Xtはこれがかなり強め。明るい太陽の下でも、F4.0やF2.8などの露出になってしまう。F値が低いということは被写界深度が浅く、ピントが合う範囲が狭くなるということになる。バックをボケさせたい時はよいが、風景写真などにはあまり適さないので、これはちょっと残念だ。できれば、風景写真モードなどの被写界深度を深く設定するモードがあるとよいのだが…。

 とはいえ、このサイズのコンパクトデジカメとしては、全体的によくまとまった機種といえるだろう。デザインばかりか操作系も洗練され、320万画素のCCDを生かした画質もしっかり得られる。実売価格は標準的なレベルだが、製品の完成度と画質の高さから、上位ランキングの常連となる機種になりそうだ。

(三上 洋=ライター)

快晴の日に花壇を広角いっぱいで撮影してみた。かなりハデな発色はいいとして、シャッタースピードが速めになる傾向が出たので、結果としてF値は2.8になった。そのため、奥の黄色い花はややボケた感じになっている(1/750秒、F2.8、ISO50) マクロは専用のモードに切り替えることなく、そのまま最短15cmまで撮影できるのが優秀。ただし、前述のように被写界深度が浅くなるため、ピントの合う範囲が狭くなるので注意。ピントがしっかり合っているかを確認してから撮影したい(1/750秒、F2.9、ISO50)

夕闇迫る横浜のみなとみらいの高層ビル。わざわざ露出補正をしなくても、雰囲気に合った画像が撮影できたのはお見事。ただし、どのビルを垂直にして撮るかでちょっと悩んだ。ランドマークタワーを垂直にするため、カメラをわずかに傾けて撮影している(1/3秒、F2.8、ISO50) 噴水で遊ぶ子どもたちを見かけたので、パッと撮ってみた。電源オフの状態からわずか1.1秒で撮影できるだけあって、こんなシャッターチャンスも逃さず捕らえてくれる。持ち歩いている時は電源をオフの状態にしておき、電源を節約したい(1/180秒、F3、ISO50)

製品名 DiMAGE Xt
発売 ミノルタ(http://www.minolta.com/japan/
実売価格 4万9800円
有効画素数 320万画素
レンズ 光学3倍ズーム(35mm判換算37~111mm)、F2.8~3.6
記録媒体 SDメモリーカード、MMC
撮影範囲 15cm~∞
液晶モニター 1.5型TFT、約11万画素
PCとの接続 USB
電源 専用リチウムイオン充電池
外形寸法、重量 85.5(W)×67(H)×20(D)mm、120g(本体のみ)