高い描写性能のみならず最短撮影距離にも注目したい高性能の標準レンズ

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シグマ

50mm F1.4 DG HSM

実売価格:9万円

対応マウント:キヤノンEFマウント、ニコンFマウント、ソニーαマウント、シグママウント

 50mm F1.4というレンズは、フィルム時代には標準レンズとしてラインアップされ、各カメラメーカーの個性を感じさせる1本として愛されていた。こういった背景もあり、サードパーティーはほとんどこのクラスに参戦してこなかったのだが、これを破ってきたのがシグマだ。2008年に「50mm F1.4 EX DG HSM」を505gという重さで発売し、その高性能ぶりが話題となったが、2014年、完全新設計のArtシリーズとして新たに「50mm F1.4 DG HSM」をリリースした。

 リニューアルされた本レンズは、重さが約815gと驚きの超重量級だ。だが、前述の35mmと同様、Artシリーズならではの上質なデザインと仕上げで、手にしただけでも満足感を覚える作りになっている。先代モデルでは、ピントの精度に不安を感じる場面も多かったが、この製品ではAFでもバッチリとピント精度が出て撮影していても気持ちがよい。もし、自分のカメラとAFのマッチングが悪い場合は、別売の「SIGMA USB DOCK」を使ってユーザーが自分で調整できる。さらに、Artシリーズは有料のマウント交換サービスに対応しているので、将来カメラを別のメーカーに変えた場合でもレンズ自体を買い替えることなく使えるので安心だ。

 撮影していて便利だと感じたのは、40cmという最短撮影距離だ。一般的な50mm F1.4のレンズと比べて5cmほど短く、これがちょっとした小物撮影時などにはとても役に立った。

 描写は、Artシリーズ共通のシャープなもので、ピントが合った部分の線が細く繊細な描写が印象的だ。絞り開放で夜景を撮っても、コマフレア(点光源のボケが尾を引く彗星のように描かれる現象)が少なく、イルミネーションなどを見たままの印象で写しやすい。ボケ味も、特に背景のボケが美しく、絞りのコントロールでの変化が楽しみやすい。

 あまりの大きさに、標準レンズとして見ると驚くが、ズームでないのにこれほど距離と絞りで作画効果の変化が味わえるという体験は貴重だ。標準レンズでありながらスペシャルな描写が楽しめる1本として、ぜひとも手もとに置いておきたい存在だ。

晴天の自然公園での1枚。絞りは、開放からシャープさにまったく不安がない。逆光状態でもコントラストの低下が少ないうえ、ハイライト部分での破綻も感じさせず、粘りのある描写だ。ボケ表現は、必ずしもとろけるような柔らかさではないのだが、背景と主要被写体をはっきりと描き分けてくれ、絞りによる表現の差が現れやすくて便利だ(EOS-1D X使用、ISO100、1/250秒、F1.4)
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