2014年8月から10月まで、代々木公園を訪れた人を中心に162名がデング熱に感染した。今年は4月下旬から例年に比べて気温が高かったこともあり、東北地方でも蚊の分布域が拡大していく可能性もあるという。日本全国で注意が必要となりそうだ。6月16日にフマキラー主催で行われた「身近に迫る脅威!! “感染症と危険害虫”」のセミナーから、注意したいポイントをレポートする。

 2014年、日本国内でデング熱が69年ぶりに流行し、162名の患者が確認された。デング熱は、デングウイルスを持つ蚊に刺されて感染する病気。デングウイルスを媒介するのは東南アジアなどに多く生息するヤブカの一種、ネッタイシマカが主要とされ、この蚊が現在、日本国内では分布していないので、海外旅行先などで感染するケースに限られていた。しかし、2014年に国内で発症した人の多くが海外に渡航していないことが確認され、デングウイルスを媒介したのは、日本に生息するヒトスジシマカだと分かった。デングウイルスに感染した人を刺したヒトスジシマカがそのウイルスを体内で増殖してほかの人を刺して感染させたものと考えられている。

 国立感染症研究所、医科学昆虫部の小林睦生氏によると、「日本には、約120種類の蚊が生息している。その中でデングウイルスを媒介するのは今まではネッタイシマカといわれていたが、昨年は、ヒトスジシマカが媒介していると分かった」と話す。さらに、「1950年代に、当時の米国の占領軍が、蚊の生息域を調べたところ、ヒトスジシマカは栃木県が北限だったが、現在は岩手県盛岡市、宮古市、秋田県能代市でも生息していることが分かっている」(小林氏)。これは、温暖化で東北の年間平均気温が上昇しているからだと推測されるそうだ。小林氏は「温暖化が進めば2035年には青森県までヒトスジシマカの生息域が広がると考えられる」と話す。

図提供:国立感染症研究所
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