イケアの家具の中で、最もデザイン性の高いラインである「PSコレクション」は、 外部の若手デザイナーを積極的に起用して現代の生活に合った家具を開発している。 このコレクションの開発を担当した建築家の芦沢啓治氏に聞いた。


「イケアだから本当に使う人の役に立っている実感がある」
   芦沢啓治



あしざわ・けいじ●1996年、横浜国立大学建築学科卒業。architecture WORKSHOP、super robotを経て2005に芦沢啓治建築設計事務所を設立。2011年には石巻工房を設立。建築・リノベーションから照明、家具のデザインまで幅広く活動を展開

 IKEA PSコレクションのデザインを提案してほしい、と話が来たのは2010年です。2008年にミラノサローネに出展したので、それを見てくれたのかもしれませんが、どうして選ばれたのかは分かりません。

 ただ、世界中で都市部に暮らす若い人たちを意識したテーマだったので、意図的に都市部で活動しているデザイナーを呼んだような気がします。スタート時には15組いましたが、2回くらいふるいにかけられて最終的に外部からは7組が残りました。

デザイナー同士の競争ではない

 オリエンテーションではまず、アイデアを5つ出せと言われて。僕は最初から、立て掛けられる家具や隙間を利用する家具を考えていたので、その点では最終的に商品化されたデザインからは遠くありません。組み立て方や分解したときの形まで細かく考えて、PSコレクションのディレクターとメールで何度も手描きのスケッチや写真を送ってやり取りしました。コーナー家具や立て掛ける家具の伝統的な背景や文化的意味、東京の住宅事情なども紹介しました。

KEA PS 2014 ウォールシェルフ ノブ11個付き, チャコール/バーチ の価格は6999円(ほかにバーチもあり)
[画像のクリックで拡大表示]

 2回目に現地へ呼ばれたときにイケアの工房でプロトタイプを制作しました。その場で作り方を相談し、スケッチを描き直しました。イケアのデザイナーや他の参加デザイナーとも相談できる、ワークショップのような雰囲気でした。

 一度声をかけられたらそのあとは全てイケア側が判断するので、デザイナー同士の競争ではないんですよね。良いアイデアがあれば全部採用するし、開発のレールに乗ったら可能なデザインはすべて実現する。僕は5案中2案が商品化されましたが、2つと決まっているわけじゃないし、PSコレクションの数も決められてない。良ければ50でも100でも作るという姿勢はほかの家具メーカーと全然違うなと思いました。