エマージェンシーブレーキシステムを中速域にも対応

 そこで登場したのがカメラやセンサーで危険な状態を判断し、自動的にブレーキを作動させるエマージェンシーブレーキ搭載車両だ。ぶつからないクルマとして注目されるスバル「アイサイト」やボルボの「インテリセーフ10」などは、エマージェンシーブレーキシステムなどを含む複合的な先進安全運転支援システムの呼称だ。

 交通事故分析センターによれば、クルマによる事故発生の速度域で最も多いのは30km/h以下。軽自動車などにも積極的に採用されているシンプルなエマージェンシーブレーキも効果を発揮するだろう。

 ただし致死率が最も高いのは40km/hから60km/hという、やや速度の高い中速域での事故だ。低速域をカバーするだけでは、人命を守る機能としては弱いのだ。

 そこで日産は、60km/h以上に対応できるシステムを作るため、作動領域を80km/h以下(歩行者に対しては60km/h)以下の性能を持つエマージェンシーブレーキシステムを、コンパクトカーの「ノート」や「セレナ」などのミニバンにも採用しているのだという。なお現在、歩行者への対応をうたうエマージェンシーブレーキ機能を備えるのは、国産メーカーでは日産とスバルだけだ。

日産の自動ブレーキシステム、エマージェンシーブレーキ。さまざまな車種に搭載され、でいるが、モデルにより機能が異なり、クルマや人に対応できるのは「ノート」「エクストレイル」「セレナ」に採用中のもの
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日産の安全への取り組みの1つ「セーフティ・シールド」。車両の周囲を360度カバーする先進安全運転支援システムを構築するため、さまざまなシステムを積極的に製品化してきた
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これから起こる危険を予測して回避するのが自動運転システム

交通事故の形態のグラフ(警視庁2012)。追突と人対クルマの事案を合わせると、事故の半数にのぼる
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 警視庁が発表している交通事故の内訳によれば、追突事故が35%、出会い頭が25%。人対クルマの割合は10%ながら、高齢化が進む日本では上昇傾向にあるという。それだけに人とクルマを見つけて確実に止まる技術がクルマ自体にあれば、事故は半減できるかもしれないのだ。

 現状の安全運転支援システムは、アクティブセーフティをうたってはいても、あくまでも迫りくる危険を検知してから作動するレベルで、まだまだ受動的だ。例えば、何かの理由でカメラが対象物を即座に捉えられなければ、作動に時間がかかるかもしれず、そうなると減速はできても、衝突前に止まれるとは限らないわけだ。つまり現段階では装備の効果はあるものの、システムとしてはまだ不完全であり、事故をゼロにはできない。

 これを上回るシステムを目指すには“これから起こる危険を予測してより危険の低い方向へ走行”できるようにすることが重要で、それを連続して行うのが自動運転システムだ。

自動ブレーキだけでなく、自動操舵装置による危険回避など、進行方向で危険のないエリアを選べるようにすることが自動運転実現のアプローチとなる
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日産が2020年までに段階的に商品化を目標としている自動運転技術。まずは2017年に高速単一レーンで追従および単独走行のシンプルなシステムが投入される予定
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