改めて米沢事業場で生産するメリットを考える

 レノボ・ジャパンが、米沢事業場で生産するメリットは4つある。

 1つは、米沢事業場で生産することにより、納期を短縮化できる点だ。

 これまでの中国・深せんでの生産では、受注から納品まで約10日間を要していたが、米沢生産では5営業日での納品が可能になる。NECレノボ・ジャパングループ ダイレクト事業部・河島良輔事業部長は、「現在、米沢事業場で生産しているThinkPadはすべてがCTOによる受注生産。リードタイムの短さは武器になる」と語る。ここでは、NECパーソナルコンピュータが持つ日本全国を網羅した物流網を活用することもでき、これも安定した納期の実現に貢献することになる。

 2つめは、国内生産ならではのカスタマイズ対応力だ。

 米沢事業場のなかには、カスタマイズセンターと呼ばれる施設が置かれている。これは、企業の要望に合わせて、事前にソフトウエアやドライバーをインストールするといった個別対応を行う施設で、特定の作業者だけが施設内には入れるといったように厳重に管理されている。こうした付加価値が提案できるのは国内生産の強みだ。現時点では、まだそうした対応をThinkPadでも実現するかどうかは明確化にしていないが、将来的にはThinkPadにも対応の幅が広がれば、やはり他社製品との差異化になるのは明らかだ。

 3つめは、長年にわたり蓄積されたノウハウを活用できる点だ。これは、品質面にもプラス効果として表れるはずだ。

 NECパーソナルコンピュータ米沢事業場は、1944年に東北金属工業(トーキン)の疎開製造工場として創業。部品製造を中心としていたが、1951年には米沢製作所として独立。1982年には、NECの100%出資子会社として、米沢日本電気に社名変更し、NECブランドのノートPCやプリンターなどの生産を行ってきた。

 1984年には、世界初のノートPC「PC-8401A」を開発。さらに、1989年に発売した「98NOTE」は、わずか3カ月半で開発し、製品を市場に送り込むという離れ技をやってのけた。その後、群馬で行っていたデスクトップPCの生産を米沢事業場へと移管。NECブランドのPCの生産をここに集中させた。

 ラピン社長は、「ジョイントベンチャーを開始した際に、グローバルな資産を考慮すれば、ほかの国に生産設備を移動させるという選択肢もあったが、米沢事業場が持つスキルと知識を生かすために、ここにとどまろうと考えた」と振り返る。長年にわたるPC生産のノウハウを活用できる点は、レノボ・ジャパンにとっても大きなことだろう。

 実際、生産ラインでは、生産する製品はすべてRFID(Radio Frequency Identification)とバーコードで管理され、部品や添付品もデジタルピッキング方式により間違いが発生しない仕組みを採用したうえで、個別仕様の生産に対応できるようになっている。

 さらに、生産ラインでは、数多くの治具を活用。部品が取りやすい位置に部品棚が移動したり、個別仕様を表示するディスプレイが作業に合わせて移動したりといった仕組みのほか、生産ラインのなかで組み立てと並行して検査を実施し、さらに梱包まで行うといったフローが出来上がっている。

 NECブランドの組立ラインに比べると、ThinkPadは、米沢生産には最適化されていないことから一部作業が繁雑なところもある。LaVieなどが約5メートルのラインで、3人で組み立てているのに比べると、7メートルほどのラインと長く、4、5人で組み立てている。今後、米沢の生産ラインからの改善提案によって、より効率化が図られていくことになるだろう。

ThinkPadの生産ライン
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