2011年から米沢生産を模索、ThinkPadの国内生産は実に15年ぶり

 ThinkPadは、1990年代後半に、日本IBMの藤沢工場で生産されていたことがあったが、その後は中国で生産。それ以来、15年以上の時を経て、国内生産が復活することになる。

 ThinkPadの米沢生産は、レノボとNECがジョイントベンチャーを開始した2011年から模索していたものだった。

 レノボ・ジャパンでは、2012年7月の時点で、米沢事業場において、ThinkPadの生産を行う考えがあることを明らかにしていたほか、それを基に、2012年12月には、「データ蓄積を目的」(レノボ・ジャパン)としたパイロット生産を行っていた。これは2013年3月まで行われており、この際、米沢で生産されたThinkPadは市場に流通している。

 パイロット生産では、エンドユーザーやパートナー企業などからの市場の反応を推し量る一方で、レノボ・ジャパンとNECパーソナルコンピュータが活用していたサプライチェーンに関する情報システム、部品調達の仕組みの違いなどを、どう吸収するのかといった点についても検証した。

 「組み立てそのものの作業には大きな差はない。実際に、今回、正式にスタートしたThinkPadの生産ラインでも、作業者はThinkPad専任にはしていない。だが、受注後、それを生産指示に変える商流(ビジネスフロー)において、苦労した。この点が解決したことで、ThinkPadの生産を開始することができた」と、生産現場を統括するNECパーソナルコンピュータ 生産事業部・竹下泰平事業部長は語る。

 もうひとつ、このときには社内的な課題があった。

 それは、NECパーソナルコンピュータがこだわってきた「米沢品質」を、ThinkPadでも保証できるのかといった点だ。

 米沢事業場では、NECブランドの製品化にあたり、徹底した部品検査や耐久試験を行っている。これらの試験をパスした部品や構造をもとに、熟練の作業者が組み上げる米沢生産によって、高い品質を築き上げている。

 その点では、ThinkPadも大和研究所で徹底した耐久試験などを実施している。だが、大和研究所と米沢事業場での生産の組み合わせで、すぐに、「米沢品質」を担保できるかどうかは、別の話だ。この部分のすり合わせにも一定の時間を要したものと推察される。

 ThinkPadの米沢生産において、品質基準はレノボのルールを採用している。だが、生産ラインにおいては、米沢事業場独自のものを採用しており、生産中に傷をつけないなどの配慮は米沢ならではのものだ。そして、最終出荷判定は米沢事業場が行っている。「米沢生産」というシールを最後に貼付する点は、米沢事業場が責任を持った品質によって、ThinkPadを市場に送りだしていることを証明するものだといえる。

ThinkPadの外箱に貼付される米沢生産のシール
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 レノボ・ジャパンでは、2014年10月に、ThinkPadの米沢生産を開始することを正式発表。そして、2015年1月には、天板にカーボン柄を採用した特別モデル「ThinkPad X1 Carbon Japan Limited Edition」を、日本市場向け専用モデルとして、500台限定で発売。これを米沢生産の第1号モデルとした。

 また、「ThinkPad X1 Carbon」と「ThinkPad X250」の生産を米沢で開始することを発表し、2015年2月からレノボショッピングで予約を開始。2月下旬から出荷を開始していた。

米沢事業場で生産されるThinkPad X250
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