内臓脂肪が減少する糖質「パラチノース」って何?

 「パラチノースというゆっくり吸収される糖質を食べると血糖の上昇が小さく、肥満になりにくいことがわかってきました。消化、吸収がゆっくりなので、小腸の末端まで糖質が流れ、GLP-1という消化管ホルモンを増やし、血糖値を下げる効果があります」(宮崎理事長)

 スローカロリー研究会が推奨している食品の1つが、このパラチノースだ。

 糖質は身近な食材に含まれている。フルーツなどに多く含まれる果糖やブドウ糖、砂糖、食物繊維を多く含むといわれるオリゴ糖やセルロース、また、穀物やイモ類に多く含まれるでんぷんなどいろいろな種類がある。

 パラチノースは、もともと蜂蜜の中に含まれる天然の糖質成分。砂糖と同じ「二糖」という部類になり、カロリーは砂糖と同じ1グラム4キロカロリー。甘さは砂糖の半分ほどで、消化吸収のスピードは砂糖の5分の1とゆっくりだ。日系ブラジル人肥満者(BMI25以上)18人に4カ月間パラチノースとショ糖群を摂取してもらう実験を行ったところ、パラチノースを摂取した人は内臓脂肪が減少したことが分かった。(下記グラフ参照)

パラチノースは消化吸収速度が砂糖の5分の1(参考文献:Kawai et al.,Horn Metab Res.1989;21:338-340)
パラチノースの長期摂取試験(文献:CEPP 32,s5-a9 2007)

 多くの糖は小腸まで届かずに速やかに吸収されて血糖値が早く上昇するのに対し、パラチノースは小腸まで届いて時間をかけて吸収されるので満腹感も得られやすいという。すでに、三井製糖から「スローカロリーシュガー」という名前で商品化され、井村屋の「スポーツようかんプラス」をはじめ、スポーツドリンクやプロテイン食品などスポーツ関係のさまざまな食品に使われている。

左:スローカロリーシュガー(400g、734円、三井製糖)、右:スポーツようかんプラス(5本いり、540円、井村屋)
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 この研究会は、糖質の質と摂り方に着目したスローカロリーな食事の有用性について調査・研究を進め、医療従事者等の専門家はもちろん、一般生活者に向けて正しい情報発信を行うことを目的に発足したという。大学の研究機関、生活習慣病の研究者をはじめ、スポーツ医学、栄養学の専門家、食品企業が参加し、産学連携で活動を行い、学術データを集積するとともに、積極的に食品開発をサポート。さらに、スローカロリーに関する知識の普及啓発に努めていくという。

 「21世紀の大きな問題は肥満」と言う宮崎理事長は、この研究会の活動を通じて1986年にイタリアで提唱され今では根付いた感のある「スローフード」のように、スローカロリーが世界で認知されることを目指したいと語る。(文/広瀬敬代)

2015年3月4日に行われた第1回スローカロリー研究会講演会。左から、一般社団法人日本生活習慣病予防協会理事長で、タニタ体重化学研究所所長も務める池田義雄氏(スローカロリー研究会顧問)、スローカロリー研究会理事長を務める、新山手病院生活習慣病センター長の宮崎滋氏、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター教授、勝川史憲氏(スローカロリー研究会理事)、東京女子医科大学病院栄養管理部主任、柴崎千絵里氏(スローカロリー研究会監事)、三井製糖商品開発部の奥野雅浩氏(スローカロリー研究会理事)
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■変更履歴
写真のクレジットに誤りがありました。新山手病院生活主観病センター長は誤りで、正しくは新山手病院生活習慣病センター長の宮崎滋氏でした。お詫びして訂正します。[2015/3/10 11:10]