家具の下を掃除するためには10cmの高さを死守すべき

──1パスでフロアすべてを掃除するとなると、ある程度の吸引力によって床のゴミを吸いきってしまわなければなりませんね。

池田氏: そうなんです。それができるのなら、それもありだと思います。しかしそれを実現しようとすると、ある程度パワーのあるモーターを積む必要があります。キャニスターやスティック掃除機なら問題はないでしょう。しかし、なぜロボット掃除機を使うのか。それはやはり、ベッドやソファーの下など、自分の手が届かない場所を掃除できるからだと思います。

 そういう場所も掃除できなければならないため、ロボット掃除機にはコンパクトさが求められます。ルンバの高さは10cm以下ですし、幅も30cmほどです。しかし、それでももっとコンパクトにできないかとお客様から要望をいただいています。

──「ダイソン 360 Eye」の場合、高さが約12cmありますね。

池田氏: 正直、我々の経験上で高さ12cmは高すぎるため、掃除できない場所が非常に多くなるのではないかと思います。

 特に家具の下の台輪(戸棚やタンスなどの家具を支える枠組の台木のこと)には、一部へこんでいる部分がある。あそこはだいたい10cm前後です。12cm以上というのはあまりありませんので、ますそこには入りません。サイドブラシがなければ、その部分は全部ゴミを残すことになると思います。

ルンバはなぜ壁にぶつかる?

──サイドブラシについて、ダイソンの発表会では「床のゴミをまき散らしてしまう」という表現がありました。

池田氏: サイドブラシがゴミをまき散らすというのは確かに分かります。しかし部屋の隅や、家具の足などにたまっているゴミは、かき出さなければならないというのも事実です。それよりも、かき出したゴミをちゃんと取れるかどうかが重要です。しかし1パスで部屋を掃除するのでは、ゴミをまき散らしただけで終わってしまいます。1カ所を4回掃除するというのは、そういうところでも生きてくるのです。

 また、壁際をロボット掃除機が掃除する場合は気を使わなければなりません。サイドブラシがない場合、壁際を掃除するためには壁をすって走らなければなりません。しかし、傷や汚れが付く恐れがあるので、そこまではできないはずです。また、ヘッド(吸引口)が本体の後ろ側に付いているとなると、動作上、部屋の角は掃除できないはずです。

「ダイソン 360 Eye」の発表会の模様。ルンバシリーズとの吸引力の差と、サイドブラシがゴミをまき散らしてしまうということをデモンストレーションしていた。ダイソン 360 Eyeはサイドブラシを搭載しないスタイルを採用している
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──壁というと、他社は「ルンバは壁や家具に当たるので、傷や汚れを付けてしまう」というように言われていますね。なぜ、ぶつかる必要があるのですか?

池田氏: ルンバは壁や家具にぶつかるため、傷付けるのではないかと言われますが、当たるからこそカーテンの向こう側やベッドカバーの向こう側にも進めるのです。その点、接触を避けるタイプは、布であろうが板であろうが、同じように回避してしまいます。

 掃除機としてお客様の満足度を高めるためには、リスクがあっても壁には当たらないといけません。カーテンや椅子のラグを超えて掃除しなければ、お客様からは「部屋の半分しか掃除してくれない」「期待したところに入ってくれない」というクレームにつながります。

 それを回避するためには、今のような方式が良いと考えています。