「掃除性能」に重要なのは「吸引力」ではない

──ルンバの動きはランダムではないとのことでしたが、動きにはかなり特徴がありますね。なぜ他社からは「無駄な動き」と言われるような動作パターンを採用しているのでしょうか。

曽根氏: SLAMを採用しているメーカーはすべて、一律なパターンで動くという特徴があります。しかし、その動きが清掃に寄与するかどうかというと、そうではないのではと思います。

 床のすべてが真っ平らなフローリングのであれば、それほど大きな違いはないかもしれません。しかしじゅうたんや畳の上などでは、いろいろな角度からアプローチすることでゴミを取ることができます。それを人間がやるのは難しいから、ロボットが代わりに行うというのがロボット掃除機のあるべき姿なのだと思います。

池田氏: 部屋のマッピングを基にして、どのように掃除していくかという方法論です。キャニスター型掃除機でも、1パス(一筆書きのように1カ所を1回ずつ走行して部屋を移動すること)ではなかなか掃除はうまくいきません。手でゴシゴシと動かして同じ場所を複数回こすると思います。本当に自分の期待に見合う掃除をするためには、やはり複数回同じ場所を経由しないと、いわゆる掃き掃除はうまくいかないのではないかと思います。

──ルンバについて「吸引力が弱いから何回も同じ場所を掃除しなければならない」というメーカーもあります。

池田氏: 1パスで部屋を掃除しなければならないのであれば、高い吸引力がなければなりません。しかしパワーが強くなると電池の消費が激しくなるため、逆に1パスでしか動けなくなります。

 ルンバの場合、そこをもう少し柔軟に考えており、複数回でトライしようというアプローチを取っています。吸引力の強いサイクロン掃除機と比べるとバッテリー消費が少ないので、部屋の中をくまなく動くことができるのです。

──部屋をきれいにするためのアプローチの違いということですね。

池田氏: そうです。部屋の認識もそうですが、認識した空間をいかにしてきれいにできるかという掃除のアプリケーションの方が顧客満足度に寄与するはずだと考えています。

 SLAMを採用するメーカーの場合は、部屋を「マップ」として認識し、その部屋を矩形に(縦横に規則的に)1パスで掃除します。これはメーカーによって表現が違うと思いますが、「吸引力があるから1パスで十分」なのか、「吸引力を上げないと1パスである程度の清掃結果が出ない」と考えるのか。それは見る角度によって違うだけだと思います。