【吉村カメラマン:第2位】シグマ「dp1 Quattro」「dp2 Quattro」

 万人にお薦めではないのだが、趣味として写真を楽しんでいる腕に覚えのある人にぜひとも試してもらいたいのが、このQuattrroだ。春に発売されたdp2 Quattroは45mm相当の標準レンズを、秋に発売されたdp1 Quattroは28mm相当の広角レンズ、来春にも発売かと思われるdp3 Quattroは75mm相当の中望遠レンズを搭載した兄弟モデルとして、レンズ以外はほぼ同じ機能と性能を持つモデルとしてラインアップする。

多くのカメラマンから高い評価を受けるシグマ「dp2 Quattro」の実勢価格は9万5000円前後。「dp1 Quattro」の実勢価格は9万8000円前後
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 光の3原色に合わせ、3層構造の素子でそれぞれR(赤)/G(緑)/B(青)を取り込む独自のFoveon X3センサーは、Foveon X3センサー“Quattro”へと進化。3900万画素相当の高解像度を実現しているという。

 だが、何よりも驚かされるのがその外観だ。分類上は「コンパクトデジタルカメラ」だが、数あるコンデジの中でも世界最大!といっていいだろう堂々たるサイズ。これまでにないスタイリングは人によって好みが分かれるが、僕個人としては「よくぞやってくれました!」と思う。常識を逸脱しているが、誰もが「両手でしっかり握ろう」と感じるスタイルであり、手ぶれ補正機構を搭載しない高解像度モデルとしては理にかなっている部分もある。

 画質に関しては、とにかくシャープ。リアルさだけを追求した高画質ではなく、ダイレクトに見た瞬間にドキリとさせる力のある描写で、他社のカメラでこれに似たものを想起させない、独自の画質と言っていい。従来機で弱かった高感度の描写も進化し、ISO400程度での撮影ならば大きな不満は感じさせない。発色が暴れることも多かった従来機に比べ、AWBをはじめ、色再現はナチュラルな傾向に近づいている。

 ボディーは大きく、ズームもなく、シャッター後のタイムラグも長めなカメラなのにこれを使う理由といえば、冒頭でも述べたようにいい意味での趣味であるから。本気で大人が打ち込む趣味って、少し不便なところと折り合いをつけていくところも楽しみだからだ。

 画角に合わせてレンズを交換するのではなく、画角に合わせてボディーごと交換するカメラ。考えてみても合理的なのかどうか分からないと思っていたら、シグマはQuattroシリーズ3台を並べて入れて持ち歩けるコンパクトなカメラバッグまで発売し、僕はちょっと笑ってしまった。

 けれども、dp2 Quattroとdp1 Quattroの2台とも手に入れてしまった今、dp3 Quattroの登場を待つことはもちろん、コンボバッグを買ってしまおうか?などとまじめに考えてしまう自分自身に今度は笑ってしまっている。

紅葉の季節に見上げた空。葉の落ちた細かな枝までしっかりと描き出す。ただ解像力が高いということだけでなく、細部まで見通せる描写と発色が魅力だ(dp1 Quattro使用、ISO100、1/200秒、F6.3、+0.3補正)
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