選ぶときは「付加機能」に注目すべき

 無線LANルーターを購入する際に、電波強度や通信の安定度、電波の届く範囲などはどうしても気になるところだ。だが、周囲の電波環境や接続する機器、設置場所、建物の素材、周囲の扉や窓の開閉状況など、ルーターを利用する環境によって大きく異なる。そのため、利用する環境に最も適した無線LANルーターを選ぶのはかなり難しい。

 一方、製品ごとに大きく異なるのが付加機能だ。そこで付加機能を理解すれば、自分の使い方に合う製品を選びやすくなる。

 まず、SSIDやキーの入力など、無線LANの設定が面倒な人のために、多くのルーターが簡単接続設定を備える。最近はどのルーターにもWPSという簡単接続機能を搭載しており、設定は簡単。無線LANを接続したい機器で簡単接続設定の待受状態にし、ルーターの接続ボタンを押すだけで良い。

 最近は、無線LANルーターの設定画面でQRコードを作成し、そのQRコードをスマートフォンのカメラで取り込むと設定が完了する機器もある。また、無線LANルーターの初期設定情報が書き込まれたNFCタグシールが付属しており、そのタグにスマホをかざすだけで無線LANの設定が完了する機種もある。iPhoneなどiOS機器はWPSやNFCタグシールを利用できないが、独自設定アプリやAOSSといった独自機能で簡単接続ができる機種もある。

 一方、中継機能に対応している無線LANルーターであれば、無線LANルーターを無線の中継機としてして利用できる。無線LANルーターと電波の届きにくい場所の間に、中継機として設定した無線LANルーターを設置するだけで、電波を中継して無線LANの電波状況を改善できるのだ。過去機種の場合、中継機能は同一メーカーや同一製品のみという制限があったが、現在は他社の無線LANルーターの電波も中継できる製品が多い。

NFCタグシールが付属する無線LANルーターは、NFCタグシールにスマートフォンをかざすだけで設定が完了する
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バッファローのホームページより。製品によって中継機能の仕様が異なるが、最近の製品は親機が他社の無線LANルーターでも中継できる
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USB端子があれば、HDDやメモリーを「NAS」にできる

 無線LANルーターの上位機種は、USB端子を搭載している。ここにUSBメモリーやUSBハードディスクを取り付けると、ネットワークで共有できる。これが簡易NAS機能だ。簡易NASで共有したディスクは、インターネットからも読み書きできる機種もある。

「USBデバイス共有機能」は、無線LANルーターに接続したUSB機器を、ネットワーク内のパソコンで共有できる機能だ。プリンターやスキャナー、USB音源、TVチューナーなどを複数のパソコンで共有できる。パソコン側にクライアントソフトをインストールし、そのソフトでUSB機器をマウントすると通常のUSB機器と同じように認識して使える。USBメモリーやUSBハードディスクに保存した動画や音声ファイルをテレビなどに配信するメディアサーバーとして使える製品もある。

 USB端子を備える無線LANルーターは、プリンターサーバーとしても利用できる、USB端子にプリンターを接続すると、そのプリンターをネットワークプリンターとして活用できる。

 USB端子にWebカメラを取り付けると、無線LANルーターの設定画面からそのカメラの映像を確認できる機種もある。Webカメラを用意するだけで、無線LANルーターが簡単な監視カメラとして利用できる。

無線LANルーターの上位機種はUSB端子を搭載する。USB機器を接続すると、それをネットワークで共有できる
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スマホに最適な電波を出す「ビームフォーミング」機能も

 将来の通信プロトコル、IPv6の対応も気になるところだ。無線LANルーターのほとんどが、IPv6の通信を素通りさせる「パススルー」で対応している。この場合、ルーターはIPv6の通信に関与しないので、端末を個別にIPv6に接続する必要がある。最近はIPv6ルーター機能を搭載する無線LANルーターも登場している。こちらはルーターからIPv6に接続できるので、従来のルーターと同じように利用できる。

 外部から家庭内ネットワークに接続できるVPN(Virtual Private Network)の対応も、製品によって異なる。多くはIPv6と同様に通信を素通しルーターは通信に関与しない「パススルー」による対応だ。その場合、ネットワーク内にVPNサーバーを別途用意しなければならない。無線LANルーターの一部機種にはVPNサーバーを搭載している製品があり、その場合はVPNサーバーをネットワーク内に用意しなくても、手軽にVPN環境を構築できる。

 無線LANルーターの上位製品には、QoS(Quality of Service)が利用できる製品が多い。QoSは、通信するデータを自動的に分類したあとに優先度を付加し、優先度が高い通信を優先的に通信できる機能だ。無線LANルーターの設定でネット動画の再生やIP電話の通話、オンラインゲームなど優先したい通信を選ぶと、その通信を優先できる。QoSを有効にすると、巨大ファイルをダウンロードするなど他の用途でネットワークの帯域が奪われても、優先度が高い通信のために一部の帯域が確保されるため、通信が途切れにくい。

 「ビームフォーミング」は、無線LANルーターが機器から発せられる電波の位相や振幅の差を計算して位置を割り出し、その場所へ最適な電波を送り出せる機能だ。無線LANの電波は通常、全方向(円形状)に均一に広がるが、ビームフォーミングは機器のある方向への最適な電波を送信する。最適な電波を送り出すことで、従来の無線LANルーターでは電波が届きにくかった場所でも通信が安定するのだ。ただし、ビームフォーミングを使うには、無線LANルーターの対応の他に、ノートパソコンやタブレット、スマートフォンなど子機側の対応も必要だ。

バッファローのホームページより。iPhone 6などがビームフォーミングに対応している
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