出版不況といわれるなか、異例の売れ行きを記録し、異業種の参入が相次いでいる出版物がある。新タイプのグルメガイド本「ランチパスポート」(ランパス)がそれだ。ランパスにはエリア限定のランチ情報が70~100店ほど掲載されており、掲載されている店でランチを食べる際に同書を提示すると値引きしてもらえる。

 通常700~1000円前後のランチが500円で食べられ、1000円で本を買っても2~3店利用すれば元がとれる。使える期間は発行から3カ月(各店3回まで)だが、仮に週に3回、1000円のランチを500円で食べられたとすると、3カ月で2万円近く得する計算になる。該当エリアの書店やコンビニで発売しているが、発売直後から品薄になることも珍しくないという人気。発売後は掲載店のランチタイムがランパス持参者一色になるという現象も多発している。

 ランパスは高知県で2011年4月に初めて発刊されて以降、すでに全国地方都市約30エリアで発行されている。東京都内では2014年4月に新橋・虎ノ門版、7~8月に渋谷・原宿・恵比寿版と新宿版が発売され、今秋以降は続々と都内版が刊行予定。東京でまずヒットしてその人気が全国に拡散するという一般的なヒットのコースとは反対のプロセスをたどっているのも特徴だ。

 割引だけならクーポン券付きフリーペーパーが山ほど出ているのに、なぜわざわざ書店で本を買ってまで利用する人が多いのか。ランパスが売れる理由を探った。

2014年7月25日に発売された「ランチパスポート 渋谷・原宿・恵比寿 Vol.1」(926円)
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2014年8月1日に発売された「ランチパスポート 新宿 Vol.1」(926円)
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1店舗につき1ページで店舗情報、ランチメニューや看板メニューなどの写真、地図などが掲載されている
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山下書店渋谷南口店ではランパスがレジ横、旅行ガイド本コーナー、入口の3カ所に山積みされていた。同店によると9月上旬段階で累計268冊売れていて、1日だけで33冊売れたこともあるという。購入者の男女比は6対4で男性が多いが、同店の一般的な書籍の売り上げ男女比が7対3なので、実は女性の割合が高いとのこと
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