「足の3D計測」を体験! 最大のショックは“試着後”!?

 低価格の謎は解けたが、「本当に足に合う靴が確実に作れるのか」という疑問はまだ残っている。そこで実際にショップを訪ね、足を計測してもらった。

 3D計測器は小型の台車の座面くらいの大きさの楕円形のボードに袋のようなものがついているシンプルなもの。袋に片足ずつ入れてスイッチを押すだけの操作なので、たしかにこれなら入社したその日からできるだろう。

 計測データは目の前のPCの画面に立体で表示される。いつも見ている足だが、こうして画面で見ると不思議な気持ちだ。筆者は23.0センチだと思っていたが、計測後にもらったシートを見るとそれより小さいことが判明。実は3D計測器で計測した半分以上の人が「自分が思っていたサイズと違う」と驚くそうだ。

 「当店を初めて利用されるお客様のほとんどは、ご自分の足の正確なサイズをご存じない。そもそも足を計測してサイズを選ぶということを普通の靴店では行わないため、試着してみて『脱げない』『痛くない』のであればサイズが合っていると考え、選んだ靴のサイズが自分の足のサイズだと思っている方がほとんど」(柳澤氏)。

 計測器ではサイズだけでなく、足指の長さを含む足型で合いやすい靴のつま先の形も分かる。足型は親指が一番長い「エジプト型」、人指し指が親指より長い「ギリシャ型」、指がほぼ同じ長さの「スクエア型」の3種類に分類され、それぞれ合うつま先の形があるそうだ。ちなみに日本人の7~8割はエジプト型だそうで、筆者もそうだった。また「自分の足は幅広」だと思っている人が多いが、計測データで見てみると実際は幅広の人はそれほど多くなく、全体の3割くらいとのこと。

 「足の甲が薄いと靴先に足が滑り込み、幅が痛く感じるのを『足幅が広いから痛い』と誤解している方も多い」(柳澤氏)。従来の靴選びでは足長に対して幅が広い人は幅に合わせて靴を選び、フィットしない足長を中敷きなどで調整するしかなかった。そのため、「履くと痛い」「脱げやすく歩きにくい」という悩みを持つ女性が多いのだという。

 本来ならオーダーシューズを試したいところだが、この日は店内にあるサンプル品の中から筆者のサイズと足の形にほぼ合ったパンプスを選んでもらった。履いてみるとたしかに足に吸い付くようにフィットし、いつもの5センチヒールだと、ほとんどフラットシューズのような感覚。より高い7センチヒールもほとんど高さを感じない。調子に乗ってほとんど履いたことのない9センチヒールに挑戦したが、これは同じサイズなのにさすがにつま先がやや狭く感じた。柳澤氏によると、「9センチヒールは7センチヒールに比べて傾斜があり、使用している木型も異なるため、足の特徴によってはきつく感じることもある」という。デザインや素材によっても履き心地が異なるそうで、筆者の場合、ストレッチ性があるエナメル素材のものを選んだところ、9センチヒールでもレザーほどきつさを感じなかった。

 だが最も驚いたのが、靴の試着を終えて自分の靴に履き替えた瞬間だった。それまでは「サイズが合っているから長時間履いていてもラク」と気に入っていたのだが、よく見ると足長は合っているものの横がブカブカで、歩くたびに土踏まず部分が浮く。すき間なくフィットした靴を履いた直後なのでそう感じるのだろうが、「今までこれを合っていると思って履いていたのか」と、かなりショックだった。

 ショップには昼すぎと夕方、時間を変えて2回取材に行ったが、ビル2階の奥という立地なのに女性客が途切れることなく入っていた。同じ時間帯で、近隣の広い路面店のシューズショップが閑散としていたのと対照的だった。また二人連れで来店する女性客が多く、「女性は自分が気に入ったものを他人にも教えたがる。そこが男性客との大きな違い。女性のクチコミ効果はすごい」という福谷社長の言葉を思い出した。

計測ルームに置かれている3D計測器は整形外科などで医療用に用いられているもの。価格は秘密だが、「クルマ1台分」(同社)もする高価なものとのこと
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袋に片足を入れ、袋の上部を締めて光を遮断して計測する。1~2分で、ノートPC上に立体的な足の形が表示される
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計測後にもらえる足型判定シート
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左から「エジプト型」「ギリシャ型」「スクエア型」に向いているつま先の形。エジプト型はつま先が丸いラウンドタイプ、人差し指が一番長いギリシャ型にはつま先部分が長く当たりにくいポインテッドタイプ、スクエア型には小指や親指の先がつま先に当たりにくい、つま先が広めのスクエアタイプの靴を薦めるという
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7センチヒールが圧倒的人気。5センチヒールを買いに来店した客が、試着して9センチヒールを購入するケースも多いという
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(文/桑原恵美子)