プラモデル作りを楽しむモデラーたちの間で評判を呼び、入荷するたびにたちまち完売してしまうという人気商品がある。ゴッドハンド社の「アルティメットニッパー」だ。プラモデルのパーツを枠から切り離すためのニッパーで、一般のプラモデル用ニッパーよりずっと高い価格にもかかわらず売れに売れている。滑らかな切れ味、綺麗な切り口といった道具としての質の高さが魅力だが、人気の秘密はそれだけではない。ゴッドハンド社を訪ねて、その秘密を探ってみた。

モデラーの間でヒット商品になっているゴッドハンド社の「アルティメットニッパー」。価格は3564円(税込)
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特徴は“切れ味”のよさ

 ニッパーにも色々あるが、「アルティメットニッパー」はプラモデルのランナー(パーツを止めている枠)からパーツを切り離すために使う、プラモデル用のニッパーだ。こうしたプラモデル用ニッパーは安いものなら500円前後からあり、高級品とされるものだと2500円前後だ。しかし「アルティメットニッパー」の価格は3564円で、プラモデル用ニッパーとしてはかなり高額な商品になる。それにもかかわらず、販売している同社Webショップや小売店では、入荷するとたちまち売り切れてしまう状態が続いている。

見た目は細身のプラモデル用ニッパーだ。手に持つとかなり軽く感じる
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横に出ているピンは、刃が開きすぎないようにするためのもの。製品には「究極」のロゴや製造番号が入っている。現在は2万5000丁以上出荷しているという
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 その特徴はまず“切れ味”だ。試しに直径3mmほどのプラスチックの棒を使って、一般的なプラモデル用ニッパー(700円前後の品)と切り比べてみた。一般的なプラモデル用ニッパーでは切る時はプラスチックの抵抗が強く感じられ、グっと力を入れるとようやくバチンと大きな音がして切れる。そして切った余りの部分は勢いよくどこかに飛んでいってしまいやすい。

一般的なプラモデル用ニッパー。ニッパーとしては薄い刃を備えているが、それでも切る時にはある程度力が必要だ
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一般的なプラモデル用ニッパーで切断したところ。切断面は凸凹していて、白く変色している部分も目立つ
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 それに比べアルティメットニッパーは、軽い力で握るだけでいとも簡単に切断できる。切る時の感触はヌルっと滑るような感触で、プラスチックからの抵抗はあまり感じられない。切る音もほとんどしないし、切ったものが飛んでいってしまうこともない。この切れ味はクセになる。

アルティメットニッパーは非常に薄い刃をしている。そして、刃の反対側が平らになっていて、刃が片方にしかない片刃構造になっている。切断能力は3mm径のプラスチックまでとされている
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アルティメットニッパーで切断したところ。切断面は平たく滑らかで、白く変色しているところもほとんどない。一般的なニッパーの切断面とは大違いだ
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プラモデル製作を楽にするニッパー

 そして切った跡を比較するとさらに驚かされる。アルティメットニッパーで切った断面はきれいで平滑だ。そしてプラスチックを切断するときにありがちな、切った跡が白く濁ってしまう現象が起こりにくい。それに比べて一般的なプラモデル用ニッパーによる切断面は凸凹に荒れているし、白く濁った部分もある。差は一目瞭然だ。

 プラモデルを作ったことのある人なら分かると思うが、パーツをニッパーで切り離す場合、ランナーとパーツをつなぐ「ゲート」と呼ばれる部分を少しパーツ側に残しておくことがポイント。そして、この残ったゲートを綺麗に切り取って跡を消す「ゲート処理」と呼ばれる作業を行うのだが、これが意外に面倒なのだ。飛び出た部分をカッターで削ったり、さらに耐水ペーパーで跡を消したりするわけだが、これに結構な時間を取られてしまう。そしてニッパーによる切断の仕方がまずいと、パーツの一部を巻き込んで切ってしまって穴が開いたような傷が残ったり、白く濁った部分が残ってしまったりする。

 しかし切断面が綺麗で白濁の起こりにくいアルティメットニッパーを使うと、こうしたトラブルを防止しやすく、切った跡の処理も非常に楽になる。つまりプラモデル作りで面倒な工程を縮小でき、効率アップできるというわけだ。切ったパーツが飛んでいかないので細かなパーツの紛失も防ぎやすい。切る時に力がいらないので、長時間作業しても疲れにくいというメリットもある。

 使い方に少しコツはいるが、こうしたたくさんのメリットがあるので一度使ってしまうと手放せなくなってしまう。予備を求めて二本・三本と複数所有する人もいるそうだ。筆者もこれを入手して使い始めてから、もうこれ以外のプラモデル用ニッパーは使えない身体になってしまった。