スマホをトリガーにソニーワールドの浸透を図る

 今、パソコンの世界ではMacの好調が伝えられますが、それはiPhoneの購入をきっかけにアップルの提供する世界観にどっぷり浸ったユーザーが、次にパソコンを買い換えるならiPhoneと親和性の高そうなMacにしようかな、と判断した面が少なくないはずです。同じことはソニーにも言えます。

 実際、ソニーの平井一夫社長兼CEO(最高経営責任者)は、MWC2014の発表会場において、「4K対応やノイズキャンセリングなどソニーの技術を盛り込んだXperia Z2は、まさにワン・ソニーを具体化している。ベスト・オブ・ソニーが手の中に納まる製品だ」とアピールしています(「[MWC2014]ソニー、行動履歴が残せるリストバンドや4K動画対応スマホを発表」)。ソニーのエッセンスを凝縮したXperiaがトリガーとなって、その先に広がるソニーワールドにユーザーが足を踏み込んでくれるなら、それは願ったりでしょう。

 こうした展開は一件ライバルと似たような戦略に見えますが、ソニーがアップルやサムスンと異なるのは、スマホを取り巻く製品群の顔ぶれです。アップルの場合は、iPhoneと連携できる自社製品はせいぜいパソコンのMacやタブレットのiPadくらい。一部のアクセサリー類を除けば、現状エコシステムの広がりは基本的にサードパーティにゆだねられています。一方のサムスンは、テレビやパソコンのほかに白物家電も手がけており、スマホを軸としたスマート家電分野への進出を狙っています。

 ソニーの場合は、もともとの事業領域がAV分野に集中しているため、いきおい、スマホと連携できる世界も、現段階ではAVを中心にしたものに限定されています。もちろん、Androidベースのスマホとして見れば、世間一般で売られている膨大なアクセサリー群のほとんどが問題なく利用できるわけですが、それはサムスンも同じことです。

 しかし、近接距離通信規格のNFCを利用してワンタッチでアクセサリー類を連携させる、あるいはソニー製ブルーレイレコーダーと組み合わせて録画したテレビ番組を屋外でも手軽に視聴できるようにする、といった応用は、グループ内で対応製品をフルラインアップできる同社ならではのアプローチと言えるでしょう(写真4)。

写真4●Xperia Z2/Z2Lと同時に国内でも発表されたスマートウエアの「SmartBand SWR10」。ワンタッチでXperiaとつながり、各種のデータをスマホ側のアプリに取り込むとができる
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 かつては同じ「SONY」のロゴが付いていても、諸々の事情からこの辺の連携が十分に取れていないケースが往々にしてあったのですが、最近はかなり改善されてきています。ゲーム機「PlayStation 4」との連携も始まりました。今後は、同社が力を入れている各種クラウドサービスの窓口としても、スマホが果たす役割はますます重要になってきます。