「復旧率90%以上」というのは本当なの?

 今回、神奈川県川崎市にあるアドバンスデザインの本社を訪れ、代表取締役の本田正氏に話を聞いた。同社は日本データ復旧協会が2009年10月に設立された当時からの会員企業だが、「復旧協会の設立メンバーとしてではなく、個人的な見解」として、「いろいろな意味で“無理のある仕事”をしている会社が増えています」と語る。

神奈川県川崎市にあるアドバンスデザイン本社
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 その一つが「広告宣伝方法」だ。例えば「企業の復旧事例紹介」や「復旧率の異常な高さ」を本田氏は指摘する。

 「我々は、復旧の前に必ずお客様とNDA(Non-disclosure agreement:秘密保持契約)を結んで仕事をしていますので、企業の事例紹介などは絶対にできません。契約を交わしたときの担当者が『事例を紹介することで安くしてくれるなら紹介してもいい』と言ったとしても、我々のNDAは会社間で結んでいるため、社長などの責任者が決裁しない限り公開することはできません。まっとうな会社なら、データをなくしたことを公開することが得ではないことが分かるので、『うん』というはずはありません」(本田氏)

アドバンスデザイン代表取締役の本田正氏
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 HDDのクラッシュによってデータを失ったなどということを公開するのは、たとえ数十万円の復旧料金が無料になったとしても、企業のビジネスにおいてプラスになるはずがないというのが本田氏の見解だ。

 さらに、多くの業者がうたう「復旧率の高さ」についても指摘する。

 「復旧率が90%を超えるなどということはありえません。記録面が壊れている場合や、磁性体が剥離してなくなってしまった場合、完全に別のデータで上書きされてしまった場合など、さまざまなケースがあります。そう考えると、高くても70~80%程度だと思います」(本田氏)

 業者によっては、受注した中からの復旧率として90%以上の高さをアピールするところもある。それは裏を返すと、「これは復旧できません」として門前払いしたケースは最初から含まれていないということだ。

 「受注した中からというのでは、復旧率とは言わないですよね。さらに、時間が経つとデータがなくなってしまうからと、復旧をせかす行為があるとも聞いています。それも無理があります。いろいろと無理なことをしているので、その無理がたたって不健全だと見られているのだと思います」(本田氏)

 1995年にデータ復旧専門企業としてスタートした、復旧業者としては“老舗”のアドバンスデザインを率いる本田氏としては、この現状をかなり憂いているようだ。