東京都の多摩丘陵に位置する多摩ニュータウンの大規模団地が2013年10月、最新マンションに生まれ変わった。さまざまな困難が伴う郊外型団地の建て替えはどのように実現したのか。カギになった住民パワーの源を探った。

目指したのはニュータウンの再生

 まだ真冬の冷たい風が吹く今年(2014年)1月下旬の日曜日、京王永山駅から徒歩7分ほどの諏訪2丁目住宅(東京都多摩市)では、真新しいマンションに囲まれた公園に子どもから高齢者まで大勢の人々が集まっていた。日本最大とされるマンション建て替えプロジェクトである「Brillia多摩ニュータウン」が2013年10月に完成し、その日は街びらきイベントが開催されたのだ。

 「相手を気遣い、気軽に挨拶のできる魅力ある地域になることを願います」。諏訪2丁目住宅マンション建替組合の加藤輝雄理事長による挨拶とともに始まったイベントでは、屋台や餅つき、ミニSLなどのほか、地元の諏訪小学校ブラスバンド部の演奏などが披露された。イベントの終盤、メイン会場の大型スクリーンに往時の諏訪2丁目住宅や取り壊し工事の様子が映し出されると、年配者を中心に足を止めて懐かしそうに見入る姿が目立った。

市民サークルによる多摩太鼓の演奏も街びらきイベントを盛り上げた
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 「目指したのは単なる建て替えではなく、『多摩ニュータウンのルネッサンス』です。高齢化や人口減が進むこの場所での新しい街づくりが、日本中のニュータウンを活性化するきっかけになればと考えました。販売時には、この事業の社会的な意義を訴え、様々なメディアに対して話題を喚起したことや、入居後のイベントやサークル活動の支援などソフト面からのコミュニティー醸成を提案したのもそのためです」。そう話すのは、建て替え事業に参画し、Brillia多摩ニュータウンの分譲を手がけた東京建物の田代雅実・住宅プロジェクト開発部長だ。

全11回のマンション販売はすべて即日完売

 諏訪2丁目住宅は旧日本住宅公団(現・都市再生機構)が1971年に建築・分譲した、地上5階建て、総戸数640戸の団地だ。「マンションの建て替えの円滑化等に関する法律(以下、マンション建て替え円滑化法)に基づく建て替え事業で2011年9月から工事が始まり、地上11~14階建て、総戸数1249戸のマンションに生まれ変わった。建て替え後の住宅のうち684戸が分譲され、2012年4月から約1年間かけて行われた全11回の販売はすべて即日完売と人気を博した。

 「新規購入者の中心は30代~40代ですが、50代以上が約30%にのぼり、郊外型の物件としては異例でした。以前に多摩エリアにお住まいの方が、ご家族やご夫婦で戻ってきたケースもありました。多摩ニュータウンの中でも緑の多い住環境を評価する方が多かったようです」(東京建物住宅プロジェクト開発部事業推進グループの木村満宣課長)

建て替え後のBrillia多摩ニュータウンは11~14階建ての7棟構成
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