この記事は、日経おとなのOFF特別編集『一生に一度は乗りたい超豪華寝台列車 ななつ星 in 九州の旅』(3月17日発売)の記事を基に再構成したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 30億円という新幹線なみの製造費。機関車含め8両編成の列車に個室が計14、定員はわずか30名。九州旅客鉄道(JR九州)の寝台列車「ななつ星 in 九州(以下、ななつ星)」。1泊2日または3泊4日で九州内を周遊するこの列車はすべてが「破格」だ。

冠雪の由布岳をバックに久大本線を力走する「ななつ星」
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 「あきらかな採算度外視のプロジェクト」。2013年10月の運行開始直前まで、社内外で疑問視する声が消えることはなかった。

 わずか1泊2日に18万~28万円(第四期、2名1室利用の場合のひとり料金)を払う客が果たしてどれだけいるのかと。

 ところがふたをあけてみればチケットは争奪戦。2014年2月末に締め切った第四期2014年夏・秋出発分(8月~11月)の平均倍率は37倍、最高倍率は195倍にも及ぶ。競争率がJR九州から発表された当日に、新聞やテレビのニュースで報道され、さながら「社会現象」だ。

 業界では、この「破格」の列車はJR九州でしか作れなかったというのが定評だ。JR九州を引っ張る強烈なカリスマ、唐池恒二社長が自ら企画し、そのよき相棒、デザイナーの水戸岡鋭治と組んで大成功に導いたプロジェクトなのだ。

 そもそも「ななつ星」という名前自体が、唐池社長のネーミングであり、すべてがそこからはじまったという。実際に「ななつ星」に乗車した鉄道ジャーナリスト櫻井寛が、唐池社長に誕生秘話を聞いた。

JR九州 代表取締役社長
唐池恒二氏
からいけ・こうじ 1953年大阪生まれ。77年に旧日本国有鉄道入社。84年よりJR九州(九州旅客鉄道)。96年にレストラン経営を手掛けるJR九州フードサービス代表取締役に就任、同社を黒字化、東京進出も果たす。2009年よりJR九州代表取締役社長。16年度までの株式上場実現を目指す