この記事は「日経トレンディ」2014年2月号(2014年1月4日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 障害物や人間を検知して衝突を回避する「自動ブレーキ機能」が、エアバッグやABS(アンチロック・ブレーキ・システム)に続く新しいクルマの安全装備として脚光を浴びている。クルマの自動運転につながる技術に迫る。

 エコカーに続くクルマ選びの新基準として、「AEBS(先進緊急ブレーキシステム=自動ブレーキ)」を搭載した“ぶつからないクルマ”であることが、重要さを増している。

 「メルセデス・ベンツSクラス」(メルセデス・ベンツ日本)のような超高級車から、「ムーヴ」(ダイハツ工業)や「ワゴンR」(スズキ)といった軽自動車に至るまで、さまざまな新型車が自動ブレーキを搭載。仕様の違いが価格の違いにつながり、軽自動車用の4万2000円から、高級車の100万円超のものまで種類は多い。

 自動ブレーキの歴史は、実は長い。その原型は、90年代後半のスバル車に採用されていた。現在のような形に機能が進化してきたのは、03年に「インスパイア」(ホンダ)に搭載された「CMBS(追突被害軽減ブレーキ)」が最初で、この年には同様のシステムが「スバル レガシィ」(富士重工業)にも搭載されている。

 当初の追突軽減ブレーキは、文字通りの機能で、クルマを停止させて衝突を回避することはできなかった。脇見運転を助長しかねないとして、国土交通省が停止まで自動制御することを長らく認めなかったからだ。

 その後、ボルボが欧州で採用を認められた、停止による衝突回避ができる自動ブレーキ「シティセーフティ」を日本でも申請。続いてスバルがステレオカメラ方式の「アイサイト」で停止機能を申請し、10年に日本で認められた。

 それによりアイサイトは“ぶつからないクルマ”というわかりやすいキャッチフレーズを使えるようになり、オプションで10万5000円と非常に値頃感のある価格で大ブレイクした。

 ボルボも障害物を検知するシティセーフティだけでなく、さらに人間を認識することも可能な「ヒューマン・セーフティ」を開発。11年から両方の技術をボルボ車に採用している。

 アイサイトなどの大ブレイクを見た他のメーカーも積極的な対応を進め、12年にはダイハツが簡易型の自動ブレーキをムーヴに軽自動車として初めて採用し、その後スズキのワゴンRなどがこれに続いた。今では小型車や軽自動車でも常識的な装備になりつつある。

トヨタ自動車は、最終的に歩行者との衝突が避けられないと判断した場合に自動操舵で避けるシステムを開発
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一気にメジャーになったスバルの「アイサイト」
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