年に1度のカメラ機器の展示会「CP+2014」(シーピープラス)が閉幕した。大雪による交通機関への影響で、2月15日(土)の3日目の開催が中止になるなどのトラブルもあったが、3日間の会期で約4万2000人の来場者を集めた。

 デジカメ業界に関しては、高性能カメラを搭載するスマホの普及に押され、コンパクトデジカメの販売不振がたびたび伝えられるようになった。だが、今回のCP+で展示されていた製品を見ると、ふだんスマホでの撮影で満足しているユーザーにもデジカメを手にしてもらうために、各社ともWi-Fiによるスマホ連携機能をほぼ標準装備にしてきただけでなく、スマホにはない新しい機能や装備を積極的に提案していることがうかがえる。なかには、今後のトレンドとなりそうな魅力的なものも多く見受けられた。

各社とも、低価格のスリムモデルはほぼ消滅

 ある程度予想はしていたものの、大半のブースではコンパクトデジカメの展示スペースを縮小していた。コンパクトデジカメに広いスペースを割いていたのは、高級モデル「PowerShot G1 X Mark II」を春商戦のメインに据えるキヤノンぐらいで、それ以外のメーカーはミラーレス一眼やデジタル一眼レフを中心とした展示としていた。パナソニックやソニーは、CP+の開幕前にコンパクトデジカメの新製品を発表したにもかかわらず、オフィスデスクほどの狭いスペースに1台ずつ並べているだけというお寒い状況だった。

 各社のコンパクトデジカメのラインアップを見ると、5~8倍前後のズームレンズを搭載した低価格のスリムモデルがほぼ消滅したのが分かる。撮影性能や装備で特筆すべきポイントがないこのクラスの製品は、スマホ好調の影響を最も大きく受けているジャンルで、価格下落が著しい。数千円まで価格が落ちると安さだけで選ばれることから、「売れても儲からないデジカメ」として各社が真っ先にリストラを進めたようだ。今後、1万円以下で購入できる低価格デジカメは大幅に少なくなるのは間違いない。

スリム高倍率ズーム機は、ビデオカメラのニーズも取り込む

 代わりに各社が力を入れているのが、ズーム性能の高い高倍率ズームデジカメだ。

 レンズ部の出っ張りが少ないスリムボディーを採用するスリム高倍率ズームモデルは、各社とも主力製品のズーム性能を光学30倍ズームに引き上げ、35mm判換算で700mmを超える超望遠撮影を可能にした。1080/60p記録への対応や、動画撮影時の手ぶれ補正の強化など、動画性能の向上を図っているのもほぼ共通だ。昨今、コンパクトデジカメだけでなくビデオカメラも不振が続いており、このクラスの製品をビデオカメラの代替として使ってほしいという狙いが見え隠れする。ビデオカメラ並みの動画性能が備わることで、運動会などのイベントに「デジタルカメラとビデオカメラの2台持ち」で臨む必要がなくなるので、ファミリー層などユーザー側にもメリットがある製品といえる。

 このジャンルでユニークな提案をしているのがパナソニックだ。30倍ズームの「LUMIX DMC-TZ60」は、このクラスでは珍しくEVF(電子ビューファインダー)を搭載したのが特徴。ドット数は20万ドットで、200万ドット超えが一般的なミラーレス一眼のEVFと比べれば表示性能で見るべき部分はないが、これだけの超望遠撮影ができるカメラで「EVFが備わっている」という点に魅力を感じる人は多いだろう。20倍ズームレンズを搭載する下位モデル「LUMIX DMC-TZ55」は、EVFこそ搭載しないものの、シリーズ初の自分撮り液晶モニターを採用しているのが目新しい。LUMIXのスリム高倍率ズーム機は、ここしばらく新機種に目新しさが欠けていたが、ライバルにはない装備でようやく反撃に出始めたようだ。

パナソニックの薄型30倍ズーム機「LUMIX DMC-TZ60」。実勢価格は4万3000円前後で、すでに販売を開始している
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背面に電子ビューファインダーを内蔵する。像の精細さや大きさはいまひとつだが、このクラスの製品に搭載したのは注目される
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20倍ズームの下位モデル「LUMIX DMC-TZ55」は、自分撮り対応の液晶モニターを搭載。予想実勢価格は3万5000円前後で、発売は3月中旬の予定
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 キヤノンの「PowerShot SX700 HS」は、シャッターボタンを搭載しない個性的なスタイルで話題になったコンパクト機「PowerShot N」(2013年4月発売、直販のみ)の売りの機能だった「クリエイティブショット」を搭載したのが注目される。クリエイティブショットは、シャッターを切ると3枚の写真を連続して撮影し、構図や色調、露出、ピント位置を変えた5枚の写真を自動生成し、オリジナルの写真と合わせて6枚を保存する機能だ。1回のシャッターで思いがけない仕上がりの写真が得られることで注目を集めたが、これまでPowerShot Nしか搭載しておらず、ほかの機種への搭載が待たれていた。5軸手ぶれ補正など動画性能も強化しており、写真も動画も満足度の高いスリム高倍率ズーム機として人気を集めそうだ。ワンタッチでスマホ連携できるボタンを独立して設けたのも評価できる。

キヤノンの30倍ズーム機「PowerShot SX700 HS」。これまでPowerShot Nのみに搭載されていたクリエイティブショットを新たに搭載したのがポイントだ。予想実勢価格は4万円前後で、発売は2月20日の予定
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背面のモードダイヤルの下に、ワンタッチスマホボタンを搭載。Wi-Fi経由でのスマホ連携機能が簡単に呼び出せる機能で、スマホ連携を重視していることがうかがえる
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