氷河期を地球走り続ける列車

 韓国映画界の実力派ポン・ジュノの新作『スノーピアサー』が公開された。これまで、『ほえる犬は噛まない』(2000年)、『殺人の追憶』(2003年)、『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)、『母なる証明』(2009年)と、3年おきに長編を発表してきたポン・ジュノだが、今回はそのインターバルが4年と開いている(韓国公開は昨年夏)。

 それには理由がある。『スノーピアサー』は、セリフのほとんどは英語、製作費は4000万ドル(約40億円)、撮影はチェコ、俳優もさまざまな国にまたがっている。韓国国内を描いてきたこれまでの作品と異なり、そのスケールは大きく広がった。

『スノーピアサー』
2014年2月7日(金)、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
公式サイト:http://www.snowpiercer.jp/
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 映画の舞台は、氷河期となった2031年の地球上を走り続ける列車・スノーピアサー。人類はほぼ滅亡し、永久機関を搭載したこの列車に乗り込んだ者だけが生き残っている。しかしこの閉鎖空間は、先頭車両では一部の富裕層が豊かな生活を送り、後方車両では多数の貧困層が劣悪な環境の中で生活している。そして、すべてそれらは、スノーピアサーを開発したウィルフォード産業の独裁下にある。

 物語の方向性はとてもシンプルだ。後方車両で不満が高まり、カーティス(クリス・エヴァンス)はクーデーターを起こして、仲間とともに先頭車両を目指す。途中、特殊技術を持った韓国人・ナムグン(ソン・ガンホ)親子と合流し、独裁支配するウィルフォード社のメイソン(ティルダ・スウィントン)率いる鎮圧部隊と戦闘を繰り広げていく。もちろんこのとき、氷と雪に覆われた外に脱出することはできず、電車は常に走り続けている。

 きわめて奇抜なこの世界観は、原作であるフランスのバンド・デシネ(マンガ)”Le Transperceneige”からのものだ。しかし、そのキャラクターや展開の多くはポン・ジュノによるオリジナルである。一筋縄ではいかないその奇天烈なフォルムや社会風刺の入った物語は、舞台やキャストはこれまでと異なれど、「変態」を自称するポン・ジュノでなければ構築し得ない魅力をしっかりと放っている。

 昨年、すでに韓国とフランスで公開され大ヒットしたこの作品は、クエンティン・タランティーノの『イングロリアス・バスターズ』(2009年)や『ジャンゴ』(2009年)などのワインスタイン・カンパニーによる配給で北米公開も決まっている。ポン・ジュノが、世界に飛び出した記念すべき作品なのである。

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