日経トレンディが2014年のヒットを読む特別企画(全四回)。最終回は膨大なデータからヒットを分析するライフログ総合研究所所長 梅田仁さんです。

 ライフログ総合研究所が属するエム・データはちょっとユニークな仕事をしています。それが「テレビ情報の検索サービス」。

 商品の開発やPR戦略を立てる際、テレビは大きな情報源です。しかし、すでに放映された番組のなかから、クライアントさんが自分たちの目的にあった情報を見つけ出すのはとてもむずかしいことです。

 このニーズに応えるため、私たちは独自のデータセンターをかまえ、100人のオペレーターが24時間365日、全キー局の番組を見続けています。100%「人力」で、実際に番組を見ながら、放映された情報を文字で入力するという地道な作業を10年にわたって続け、膨大な番組データを蓄積してきました。

 このデータベースをキーワードなどで検索すれば、いつどんな番組でどんな情報がどれだけ放映されたか、瞬時に把握できるというわけです。

 さらに数年前からは、テレビのデータに加えて、ネットの検索、ソーシャルの「ビッグデータ」を、組み合わせて使えるようにしました。

 「ビッグデータの利用」が話題になり、ソーシャルでの話題や検索数と、商品、サービスの売上には強い関係がある、ということはわかってきましたが、twitterで一時的に話題になったもの、瞬間的に検索数が増えたものが必ずしも持続的なヒット商品に育つとは限りません。

テレビ情報とビッグデータを組み合わせてヒットの芽やトレンドを「見える化」

 テレビとネットという複数のデータソースをぶつけあって「何か」を見つけるのが肝です。

 (1)テレビで放映された情報
 (2)twitterやブログで語られた内容
 (3)ネットで検索されたキーワード

 この3つを組み合わせたデータ解析を行っているのが、私が所長をつとめるライフログ総合研究所というプロジェクトです。

 たとえば私たちのテレビ情報データベースで、「乳酸菌」について検索したとします。「◯月◯日の??という番組の△△というコーナーで乳酸菌の健康効果、料理レシピについて◯分◯秒紹介された」という番組別の情報がわかり、それを積算すれば、1週間の間に「乳酸菌」に関連する放送は何分何秒あったのかもわかる。つまり「乳酸菌」関連の露出量が数値化できるのです。

 さらに、同時期にtwitterでは何回乳酸菌について語られたか、何回検索されたか、というビッグデータを組みこみ、グラフなどの形で「見える化」する。もちろん特定の商品名についても同様のデータが得られます。

 テレビでの露出量はソーシャルの話題や検索数にどう影響していくのか、実際の商品認知度、販売数とどう関連していったかが、見える化によって、非常にわかりやすくなるのです。

 商品やサービスによって違いはあるものの、やはりテレビでの露出が起点になってネットの話題や検索を誘発し、ヒットにつながっていることが多いことなどもはっきりと見えてくる。

 こうしたことが「見える」とPR戦略は非常に立てやすくなります。

 テレビコマーシャル、取材、そしてソーシャルへの発信を効率よく組み合わせて利用するための方法も見えてきます。