日経トレンディが2014年のヒットを読む特別企画(全4回)。第二回はゴールデンボンバーの“仕掛け人”ユークリッド・エージェンシー取締役副社長の石森洋さんにその秘密を伺います。

[画像のクリックで拡大表示]

 僕はもともとエイベックスでDA PUMPや野猿といったアーティストを担当していましたが、今から2年ほど前、2012年の3月に今の会社に移りました。今度の会社はエイベックスと違ってとても小さい。ユークリッドというレーベルも持っていますがインディーズです。

 ここで担当しているのがゴールデンボンバー。彼らの「仕掛け人」なんて言われますが、僕は彼らのブレイクの後押しをしただけ。

 バンドの結成は2004年、「女々しくて」は2009年に発売された曲なのです。実は2009年発売の時点で、オリコンのCDランキングで77位になったことがあるのですが、まだほとんど一般的に知られることはなかった。ライブ、コンサートも数多くやっていたけれど、まだまだコアなファンにしか認知度はありませんでした。オリコンのCDランキングというのは、1位~3位しか意味はない。1~3位は100万枚単位ですが、4位、5位になるといきなり2万枚、という程度に一気に減ってしまう。しかも1週だけしか順位が維持できない。当時ゴールデンボンバーのファンクラブは7000~8000人程度の規模だったのですが、この人たちが3枚ずつ買ってくれたらそれで2万枚を超える。だから会社は、ひとりが複数枚のCDを買うように、3タイプのものも同時に発売したり、AKBのように「投票用紙」を封入したりするわけです。

 で、めでたく3枚買ってくれれば、それでだけで4位にはなれるということ。もちろんそれでも簡単なことではないけれど、4位になったといっても「コアなファン以外は誰も知らないバンド」でしかないということなんです。

宣伝費をかけたくてもかける金もなかった

 2007年ごろから「面白いなあ」と思っていた彼らを僕が担当するようになったのは2012年、最初に立てた目標が「年末の紅白歌合戦に出すこと」でした。それを目標として目指すということは、4位を1位にし、認知度20%以下のものを80~90%に上げるという意味です。

 けれど、宣伝費をかけるつもりなんかありませんでした。かけたくても小さな会社にそんな金ありません。ゴールデンボンバーも自分たちでYouTubeにおもしろ動画をアップしたり、アホなパフォーマンスで認知度を上げたりして、ファンを増やしてきたんですから、いまさら宣伝費をかける意味なんかほとんどないのです。

 「目標は紅白出場」を掲げ、しかも金をまったく使わずにそれを達成するためには、まず認知度を上げていく必要がありました。

 彼らの認知度を圧倒的なものにするには、テレビに出すのが一番だと思いましたが、まずは手始めにニュースリリースの送り先を調べるところから始めました。すべてのメディア、情報サイトの送り先、担当者を調べ上げるところ始めました。

 2012年の3月24日、フジテレビの「ものまね王者決定戦」でオリエンタルラジオが「女々しくて」を歌った。その「本人登場」でゴールデンボンバーが出演したんです。本来認知度20%のバンドが出られる番組ではなかったのですが、たまたまADさんの1人がゴールデンボンバーの大ファンだったそうで出演が決まった。

 ちょうど盛んにCMが流れていた時期だったこともあり、放映翌日にレコチョクのデイリーランキング1位になりました。