世界に誇る超一流の寝台列車を目指して、およそ30億円という総工費をかけて作られた車両。あまりの完成度の高さにJR九州は、これまで最高で55万円だった旅行代金を、2014年7月出発分から77万円に引き上げるという異例の決断をしたほどだ。

 実際に車内に入ると、細部まで徹底して作り込まれた空間に圧倒される。丁寧に天然木の突板が張られたモールディングが縦横無尽に張り巡らされた天井。ビスや金具など、あらゆる部材にこの列車オリジナルのものが使われる。

 使う木の種類や家具のデザイン、使用されるファブリックや組子欄間、アクセントとして使われるグラフィックなどもそれぞれ車両ごとに異なるものを用意。何度乗っても飽きることなく、「この列車に乗ること自体が旅の目的になるようにしたい」(水戸岡代表)と徹底して作り込んだ。

先端技術から伝統工芸までを網羅

 「これまで日本には、そこそこのおもてなしはたくさんあった。しかし、海外の富豪や貴族までをも満足させるような超一流のおもてなしは、果たしてあっただろうか?」こう疑問を投げかける水戸岡氏は、超一流のおもてなしを提供できる空間デザインを作り上げるため、いくつかの挑戦を行った。

 その1つが先に説明したような、とことん手間を掛けて作り込んだ濃密な空間だ。そしてもう1つ、おもてなしの空間を作るために重要だと考えたのが「値段が分かるものは置かない」(水戸岡代表)こと。列車内の什器で、既製品はルイス・ポールセンのランプだけ。それ以外、家具や照明、什器まですべてがオリジナルデザインでゼロから生み出したものばかりだ。

1号車のラウンジカー。昼は休憩所、夜はバーになる。ピアノが備え付けられ生演奏が行われる
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トイレの洗面器に使われているのは柿右衛門の磁器
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