地方にいても音楽はできる、というスタイルを提案したい

――メジャーデビューに伴って上京されるんでしょうか

tofubeats: いえ、神戸市内で。今より少し広めの、市の中心部に引っ越します。よく「東京に出て来ないの?」って聞かれるんですけど、なんで行かなきゃいけないんだ!と思います。みんなノマドノマド言いながら、結局東京の中でうろうろしてるだけじゃん!って。ここにいて不便を感じることもないし、今もこのインタビューはSkypeでやってますしね。東京は目で見る、耳に入る現実の情報が多すぎる気がします。そもそも地方在住で友達がいなくて、どうやって音楽作ったらいいんだろうってところからインターネットの世界に繋がったので、そのモチベーションを保ち続けていくためには神戸にいたほうがいいと思う。単純に、家賃で貧乏したくないってのもありますけど(笑)。

――確かに今、神戸と東京をSkypeで繋いでインタビューをしていますが、距離感は感じませんね。普段の打ち合わせもSkypeを使うことが多いんですか?

tofubeats: 週に2、3回はレコード会社や所属事務所とSkype会議しています。打ち合わせも多いですが、普段は規則正しい生活を心がけています。週に1回なにかしらの締切りがあるので、朝起きたら曲作りを始めて、飽きたらご飯作るかドトールかサイゼリヤに食べに行って、帰ってきてまた曲作りして夜はちゃんと寝る。曲作りって日中のほうがはかどるんですよ。夜、飲みに行くこともないですね。去年、胃潰瘍になってからお酒が飲めなくなったので。週末は大体DJのイベントが入っているので、翌日眠くてまるまる潰れちゃうのが今の悩みですね。

Skypeインタビュー中のtofubeats氏

――今、音楽制作を始めてちょうど10年ですよね。10年後にはこうなっていたいという展望はありますか

tofubeats: 10年後…32歳か。他のプロデューサーはいくつでこの曲を作っていた、というのはわかりやすい目標ですよね。「中田ヤスタカさんは33歳で『にんじゃりばんばん』作ってたんだ!」とか。正直なところ、去年病気してから上昇志向があまりなくなって。もちろん売れたいし、ワーナーとも長く契約していたいとは考えてますが、がんばり過ぎて病気になるのが嫌だって思いのほうが強いんですよ。元々性格的にガツガツしてないし、ガツガツしすぎると摩耗するのがわかってるんで。マネージャーとよく話してるんですが、「3カ月楽しくなかったら辞めよう」と。仕事としてそんなに辛いんだったら、音楽は趣味でいいじゃんて思います。インディーズに戻ればいい。何かあったら逃げたらいいやと思わなきゃ生きていけない。

――音楽は“ガツガツ”やるものではないということでしょうか

tofubeats: 音楽で食べて行きたいと思ってる人で、東京に行って頑張らなきゃ売れないって考えている人も多いと思うんですよ。だから僕が神戸に居て、音楽で食べられているという姿、こういう選択肢もあるということを提案したいですね。フリーダウンロードの件もそうですが、音楽を聴く側にも作る側にも色々な提案を投げかけやすい立場にいると思うので、そのスタイルは今後も貫いていけたらいいなと思います。

(文/樋口可奈子)

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