フリーダウンロードさせるからこそ“売れる”

2013年4月に発売されたアルバム『lost decade』
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――先日インディーズで発売されたアルバム『lost decade』ですが、発売前にフリーダウンロード可としていた音源が17曲中3曲含まれていますよね。その上で有料で販売してこれだけ売れたということをどう捉えていますか

tofubeats: フリーで提供したことで、きちんと曲をチェックして買う「いいファン」が付いてくれたと思っています。同数CDを売り上げているミュージシャンと僕の曲は、YouTubeの再生回数で比べるとかなり開きがあるんです。100万回再生されている曲も世の中には結構あるんですよ。対する僕の曲は一番再生されているもので50万回。でも、売り上げで比べるとそんなに変わらない。自分の場合は、再生回数が売り上げに結びついているという実感があります。最初から最後まで無料で聴いた上で買ってくれるということは、サービスに対する対価だと思っています。満足した分にお金を払ってくれている。そういう人たちに対して、ケチケチしたくないんです。父方の実家が八百屋で、小学校の頃、祖母が買い物に来た親子連れの子供にみかんをタダであげているのを見て「優しいおばあちゃんだな」と思ってたんですが、今になって思えば、あれは営業戦略だったんだな、と。誰だってサービスの良い店で買い物したいですよね。余裕がある人には買ってもらいたいですが、高校生はYouTubeで見てくれるだけでもいい。僕の名前を、曲をまず知ってもらえればいい。お金を落とすタイミングは人それぞれでいいんです。

tofubeats - 水星 feat,オノマトペ大臣(PV)

――tofubeatsさんなりのマーケティング論というわけですね。ところで、今こうしてインディーズで活躍している状況で、メジャーデビュー契約したことによる変化はありましたか

tofubeats: 世間の扱いが変わったことかな。「アーティスト」という免許が下りた感じですかね。制作環境は特に変化はないです。元々スタジオはレコーディングでしか使っていなくて、今もパソコン1台、2011年型のiMacで作っていますから。もう少ししたら引っ越す予定なので、その機会に機材は入れ替えたいと思っているんですが。