杏里、角松敏生、山下達郎……曲作りのヒントは90年前後のJ-POP

――WIRE08出演がきっかけで、2009年のももいろクローバー(以下、ももクロ)のリミックスにつながったんでしょうか

tofubeats: ももクロの前にもアイドルのリミックスはやっていたんですが、この頃は「ネットで名前が知られていて曲を作れる若い人」ということで仕事をもらっていたんです。WIRE08に出演したことで素性が分かったので、「tofubeatsに頼もう」という人は増えてきたかもしれないですね。ももクロについては僕に直接オファーがあったわけではなく、最初は他に当てがあったそうです。その人が別の仕事の都合でNGだったと知ったマネージャーが、「WIRE08に出たtofubeatsはどうですか」と売り込んでくれました。当時のももクロはファーストシングルが出たばかりで、あまり知名度がなかったんですが、僕はすでにファンだったんですよ。元々アイドル好きなんで。それでマネージャーから「知らないと思うけど、ももクロっていうアイドルのリミックスを…」と聞かされて2つ返事で「やります!」と。締切りが3日後とかなりキツい状況で、納品しても直してほしいと言われて結局5日くらい徹夜で。大変な作業でしたが、今思うとやってよかったですね。この仕事の後にJ-POPの依頼が増えました。

――tofubeatsさんにとって「J-POP」とは何ですか?

tofubeats: J-POPは「人に聴いてもらうための音楽」だと思っています。クラブミュージックや日本語ラップは、そのジャンルが好きな人が聴く音楽だと思うんですよ。幅広い年齢層の、誰にでも好んで聴いてもらえる音楽がJ-POP。インストゥルメントも作りますが、J-POPにしようと思った曲はカラオケに聴こえないように歌詞を書いてボーカルを入れます。

――J-POPを作る際に影響を受けたミュージシャンはいますか

tofubeats: つんくさんです。幅広い客層に聴かれることを意識した曲作りと自分のテクニックを合わせていくという技を、かなり高いレベルで達成している気がします。それから1990年前後の音楽。近所のブックオフで、8センチCD、短冊形のCDをまとめ買いして聴いています。音楽をやっていると自分が生まれた時代の曲に興味を持つという説をどこかで聞いたことがあるんですが、やっぱり1990年前後の音楽が気になるんですよね。僕、杏里さん好きなんですよ。ディスコっぽい、今聴くと良い意味で“ちょいダサい”感じがすごく好き。ブックオフで見つけた中では、角松敏生さんも好きですね。あとは山下達郎さん、佐野元春さんとか。スタジオミュージシャンに一流の人が揃っているような、丹誠込めて作ってる音楽に憧れます。僕、楽譜が読めないんで、ちゃんとした音楽教育を受けた人に対する尊敬もあります。

――曲作りのヒントは意外なところにあったんですね。ところでファンだったももクロとは仲良くなれたんですか

tofubeats: いや、2009年にリミックスをやった後も素性を隠して握手会に行っていて…。その後しばらくは、ただのファンの振りをしてイベント通ってましたね。本当は関係者なのに。

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