この記事は、「日経デザイン」2013年8月号からの転載です。記事の内容は雑誌掲載時のものです。

 これまで重ねてきた議論の中で生まれたデザインを全部捨てて、全く新しい機構で作り直したボトル。3Dプリンターで出力したそのサンプルを、協業企業のサントリー食品インターナショナル(以下サントリー)の担当者に初めて差し出した時のことを、サーモスのマーケティング室商品企画課商品企画第2グループの佐々木新氏は今でもはっきりと覚えていると言う。

 これまで進めてきたことをいきなりご破算にした直後だけに、会議の雰囲気は決していいとは言えない。そんな状況のなかでサントリーの担当者がそのサンプルを手に取り、下の写真のように飲料のポーションを入れて取っ手でプシュッとつぶす。すると、つぶした時の感覚の面白さに思わず笑みがこぼれた。「3Dプリンターがあって本当に良かった。そう思った瞬間だった」(佐々木氏)。

サーモスとサントリーが共同で開発した「マイボトルドリンク drop」。飲料の濃縮液が入ったポーション(左下写真)を専用のポットにセットし、取っ手でつぶして濃縮液を出す。その後水や湯を注いで飲料を完成させる
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言葉より実物で伝える

 サントリーとサーモスは、10月1日に新しい飲用習慣の開拓を目指した商品「マイボトルドリンク drop」を発売する。これは25ミリリットルの濃縮飲料と専用真空断熱ボトルを組み合わせた商品だ。濃縮飲料が入ったポーションをボトルにセットし、つぶして中身をボトルに移す。そしてそこに水やお湯を注いで飲料を完成させるという初めての仕組みを採用した。

 ターゲットは、環境への配慮から「マイ水筒」を持ち歩く消費者。ゴミが少ないというだけではない。お湯や水を注いだ時に香りが十分に広がり、ペットボトルに比べて風味豊かな飲料を楽しめることもメリットだと言う。