「3トン半」または「3・1/2tトラック」をご存知だろうか? 陸上自衛隊が使用しているトラックで、以前は「73式大型トラック」と呼ばれていたもの。東日本大震災の復興支援でも数多くの3トン半が活動した。名前は知らなくてもテレビに映るこの姿を見たことがある人は多いだろう。「73式」という呼び名の通り、初代モデルは40年前に登場。改良に改良を重ね、現在は8代目のモデルが活躍している。6輪駆動、高い車高や吸排気系といった特徴を持つほか、民間向けのトラックとは比べものにならないほど悪路走破性に優れる。

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実は6トン搭載も可能な“3トン半”

 「3・1/2tトラック」は陸上自衛隊が人員や物資輸送に使っている汎用トラック。3トン半とは、悪路走行時の標準積載量のことで、一般道など平地を走行する場合の最大積載量は6トンだ。

 1973年から製造が開始され、改良を重ねながら現在は8代目に当たるモデルが生産されている。開発・製造を行っているのはいすゞ自動車で、同社では採用当時の車両形式から「SKW」と呼ばれている。初代が「SKW440」で、現行モデルは「SKW477」だ。

「3トン半」の現行モデル。かなり腰高なトラックだ。荷台の屋根だけでなく、操縦席も幌になっている
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車高が高いので、運転席に登るのも一苦労。前輪のホイールには足をかけて登るためのステップが付いている
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運転席は一般のトラックとそれほど変わらない印象だが、とてもシンプル
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運転席はエアコンとAMラジオがついている。シートベルトやシグナルランプなど、民生用トラックと共用の部品も多い
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屋根は幌になっている
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荷台もかなり高い位置にある
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3トン半に搭載されているエンジン。6気筒で約300馬力を発生する
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 一般のトラックと違い、最前線の陣地や戦車などに物資を補給するための悪路走破性能、渡渉性能、後方から前線に物資を高速に運ぶための高速連続走行性能などが求められる。

 そのための独特の工夫が数多くあるが、重要なのが「最低地上高」だ。一般的なトラックが高くても240mm前後であるのに対して、3トン半は330mmを確保。実際に見るとかなり腰高なトラックで、慣れないため乗り降りには苦労した。しかしこの車高と柔軟なサスペンションにより、高い段差のある悪路でも障害物にひっかかることなく走破できる。

 吸排気系も高い位置に設けられていて、約80cmの水に浸かっても走れる渡渉能力を持つ。いすゞ自動車では北海道に専用のテスト場を設け、そこで様々なテストを行って開発している。テストの模様を撮影したビデオでは、一般的なトラックでは登れない坂や渡れない池、雪原などを3トン半がスイスイと走破。まさに“道なき道をゆくトラック”という印象だった。

 現行モデルのエンジンは6気筒で約300馬力。同クラスの民生用は330馬力ほどで、それに比べると馬力はやや低いが、低回転で大きいトルクを発生できる。6輪駆動で最高速度は100km/hだ。