“老舗”サラリーマン川柳も じわりと応募数増

 川柳の一般公募コンテストの応募数も拡大している。最も有名なのは第一生命が実施する「サラリーマン川柳」だろう。今年5月に発表された第26回の応募作は3万490句。応募作が3万句を超えたのは第12回(1998年実施)以来14年ぶりとなった。大賞作は「いい夫婦 今じゃどうでも いい夫婦」(マッチ売りの老女/4563票)。2位は「電話口 『何様ですか?』と 聞く新人」(吟華/4281票)、3位「『辞めてやる!』 会社にいいね!と 返される」(元課長/3966票)など。(公式サイト

 第一生命では「世間的にも川柳を扱うコンクールや書籍が多くなってきていること、サラリーマン川柳コンクールの優秀作を収録した書籍『サラリーマン川柳 傑作選』も定期的に増刷されており、川柳書籍の人気は実感している」とのこと。「さまざまなジャンルの川柳が出てきたことで広く川柳の楽しさ、面白さが広がっているのでは」(同社生涯設計開発部)と見る。

 変わり種の川柳コンテストも増えてきている。その一つがインターネット接続サービス会社のインターリンクが主催する「オタク川柳」。同社では2005年に創立10周年キャンペーンの一環として「第1回あなたが選ぶIT川柳大賞」を実施し、年に1度のペースで開催していたが第4回からは「あなたが選ぶオタク川柳大賞」に変更した。変更の理由は、ITにおいてマニアックな知識を持つユーザーが多く「IT川柳もそうした川柳が多く集ったため」という。

 川柳コンテストは婚活やOLを対象とするものであっても高齢者からの応募が多い傾向があるが、このコンテストは応募者の平均年齢が20代であることが特徴。男女比は6対4で男性が多いが、ここ数年の傾向としては男女の差が縮まりつつあるようだという。今年3月に公式サイト発表された大賞と優秀賞は次の通り(応募総数は5356)YouTubeにアップされた動画はこれまでに39万回以上再生されている。

神de賞(大賞)

「生活の レベルを下げて レベル上げ」 (LV28)

天才de賞(優秀賞)

「『お仕事は?』『自宅警備と 狩り少々。』」 (みゆみゆ)
「これほしい オタノミクスに デフレなし」 (なる)

 このほかにも、眠り製作所が主催する「ねむり川柳」、靴下製造卸売り販売を手掛ける岡本が実施している「足クサ川柳」、宅ふぁいる便のサイト上で募集されている「いちびり川柳」など、ユニークな川柳コンテストは数多い。

短い言葉で伝える 「気軽な共感」が広がる?

 川柳に関する書籍が売れ、若年層にも広がっている背景を杉山さんは、「流行りの川柳にはダジャレや言葉遊びが入ったものも多く、これは本来狂句であって川柳ではない。ただ、川柳のすそ野が広がり、楽しむ人が増えている」と分析する。「本を読む文化もちょっと変わっているかもしれません」と話すのはポプラ社の浅井氏。川柳が人の心をつかむ理由は「短い言葉で人と共感を分かち合えるところ、そしてカラッと笑えるところ」にあるという。気軽に共感を得ることができ、笑って元気が出る。そんなところがいまどきの川柳の魅力なのかもしれない。

(文/小川たまか=プレスラボ)