シンガポールや台湾、韓国、香港、インドネシアでもオープンしたい

――Zeppが海外にできると音楽ビジネスはどう変わるのか?

 「Zeppは国内に6カ所あるが、ステージの幅や音響、照明設備が同じなのが特徴だ。照明設備なども設定データを持っていくだけで、どの会場でも同じセッティングで使える。この工夫を海外でも使えば、例えばアイドルグループのライブなら、日本公演の翌日に海外のZeppで同じスタイルのライブをすることも可能になる。セッティングが同じなので、ツアーに同行するスタッフの人数も減らせるはずだ。これなら、アーティストには出演料を多く払えるし、チケット価格も安くできる。人が集まるようになれば、文化を生み、情報発信基地にもなり音楽マーケットも育つ。近い将来Zeppは、シンガポールや台湾、韓国、香港、インドネシアでもオープンしたいと考えている」

――海外で活躍したいと考える日本のアーティストも増えている。彼らにとってのメリットは?

 「Zeppをアジアに作るが、コンサートプロモーターとして、Zepp以外での現地ライブも手がけていくつもりだ。アジアでのライブを拡大できれば、そこに日本のアーティストにも出演してもらえる。これまで海外でのライブは海外のプロモーターと話をするしかなかったが、われわれと契約するだけで海外でもライブができるメリットもある」

Zeppライブエンタテインメント代表取締役の杉本圭司氏
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――現地での成功のカギは?

 「アーティストをブッキングすることよりも、現地のルールにあわせてイベントを作っていくことの方が重要だ。トラブルなったら現地の法律で裁かれるからだ。現地ルールでうまくイベントを作るには運営してくれるパートナー企業との良好な関係を保つことも大切になる。現在、シンガポールに現地スタッフも置いているが、現地の企業に運営サポートをしてもらうなど人材育成も重要になってくる」

 Zeppライブエンタテインメントは、ソニー・ミュージックエンタテインメントのライブ企画部門とライブハウスであるZeppの運営会社が統合して昨年4月に始動した。Zeppの運営以外にもライブイベントの企画・制作を手掛けている。海外展開の強化は、こうしたノウハウをアジア地域でも展開して事業を拡大するのが狙い。政府は「クール・ジャパン」戦略としてコンテンツの海外展開を強化しており、日本のアーティストが海外イベントに出演したり、単独ライブを開催したりする機会が増えていることも背景にある。Zeppの海外展開でアーティストが活躍できる“場所”が増えれば、日本のアーティストの海外進出にも勢いがつきそうだ。

(文/吾妻拓=日経トレンディネット)