“身軽”がゆえの限界や苦労も

 「職質で梨の妖精って答えたらしょっ引かれたなっしー」。ふなっしーは口が悪い妖精というキャラ設定。新勢力がファンの心をつかむのはユニークな発言だ。ツイッターなどSNSで発言するゆるキャラは多いが、自治体の公式キャラでは書く内容に制約も多い。ADKの野澤氏は、「非公認キャラは後ろ盾がないのを逆手に取って、本音トークを見せられるという点がSNS時代に合致したのだろう」と分析する。

 民間のキャラであれば、自由にグッズなどの商売を展開できるはずだが、新勢力のグッズ販売は限定的だ。ちっちゃいおっさんを運営するアップライトの池田進太郎社長は「子供に道徳を伝えられる先生役になりたい営業活動のつもりでやっていない」と強調する。活動資金のために通販もしているが、「出張費など運営コストは累計2000万円近い。通販収入は微々たるもの」(池田氏)と言う。本業の収入があるからこそ成立している。

 一方、ふなっしーの作者は「注目されるうちが花だと思って今はさまざまな企業からのイベント出演依頼を受けている。ただ、ブームはあと半年ぐらいだと思っている」と言う。ブームが去った後は「ご当地キャラとして元の活動に戻る。幼稚園や公園などで子供たちに喜んでもらえたらそれでいい」(同氏)。個人の活動から始まったキャラが一躍“時の人”になったが、当事者たちは冷静な見方をしている。

 ふなっしー(作者:千葉県船橋市在住の小売店経営者、素性非公表)

「しゃべる」「跳びはねる」の次は分裂?

 「なっしー」という語尾を付けながら、ぴょんぴょん跳びはねる奇妙な行動が特徴の「ふなっしー」。落書きから生まれたキャラ。「非公認」のため自由奔放に活動する。

 中国で作った着ぐるみの制作費が3万6000円だったというのは有名な話だが、最近、また同額で発注し、2体目を準備中だ。「安いだけあって、注文通りに作ってくれず、手が前に付いていたので直しているところ」(ふなっしーの作者)。2体目を用意したのは「分裂構想」を実現するためだ。梨の妖精であるふなっしーは実は274体に分裂するという。「複数のふなっしーが同時に出て、ファンを驚かせたい。EXILEのように踊ってもいいかもしれない」(同氏)。
今は約10種類のグッズをネット通販で販売しているが、よく見るとそれぞれ微妙に色や形が違う。「それも個性。かわいいと思えれば二次加工もOK」(作者)
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 ちっちゃいおっさん(作者:池田進太郎氏、アップライト社長)

物申すキャラとしてオピニオンリーダー目指す

 兵庫県尼崎市の非公認キャラ。池田氏が「道徳にうるさかった」という亡き父親をモデルに生み出したのが「ちっちゃいおっさん」だ。「子供たちが尼崎市を誇りに思えるように」との思いから活動を始め、今後は「世の中に物申すオピニオンリーダー」を目指すという。
尼崎市出身の池田氏の本業はテレビ番組の企画を手がける企業の社長。犬のキャラ「八木」も実在の飼い犬がモデル
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 にしこくん(作者:西尾有未氏、デザイナー)

東京・西国分寺発でファンを拡大
「ゆるく過ごすことを伝えたい」

 24歳の西尾氏は日本大学芸術学部卒。在学中に流行していたツイッター上でデビューした「にしこくん」。足のシュールな動きが話題になった。4月にぬいぐるみを発売したが、ライセンスはむやみに拡大しない方針。「何かを広報するキャラではない。ゆるく過ごすスタイルを伝えていきたい」(西尾氏)という。
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ファンとの交流イベントでは西国分寺駅前の書店「隆文堂」が協力
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Daiichi Printing (C)ゆるキャラ(R)グランプリ実行委員会 (C)2010熊本県くまモン
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(文/安田亜紀代=日経トレンディ)


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