なぜ今“非公認キャラ”がブレイクするのか?

 非公認キャラになぜ白羽の矢が立ったのか。実はどちらのCMも、博報堂が社団法人日本ご当地キャラクター協会にキャラ出演の仲介を依頼して実現した。荒川深冊代表理事は滋賀県彦根市で全国のキャラを集めるイベントを5年前から取りまとめており、このネットワークに企業が目を付けた。協会には着ぐるみと、「ご当地キャラ」と呼べる活動があれば個人でも加入できる。加入後は各地のイベントや企業販促への参加が呼びかけられる。

 赤ちゃん本舗が昨年実施した「1日店長リレー」も荒川氏に協力要請があった。実は「自治体のキャラは断るところが多く、ふなっしーに声をかけた」(荒川氏)という。自治体の公式キャラは、企業の販促には登場できないところも多い。くまモンのように積極的に県外に出ていく方針のキャラもあるが、非公認キャラの露出が増えたのにはこうした事情もある。

 ビジネス色が強くなるなか、ゆるくない現実も見えてきた。「ゆるキャラグランプリ2012」の実行委員会が母体となって3月に設立された株式会社ゆるキャラの西秀一郎社長は、「企業にとってはタレントよりも使い勝手が良いのだろうが、キャラ側にはビジネスに慣れていない担当者も多い。出演料や契約でトラブルが出始めた」と語る。企業のCMで「競争排除」という条件が盛り込まれていることを知らずに出演したキャラの担当者から、「地元企業の販促に参加できない。どうしたらいいか」と相談を持ちかけられたこともあるという。「ゆるキャラは元来、地域活性化が目的。地元に貢献できないのは本末転倒だ」(西氏)と話す。

 “自由”を武器に非公認キャラが台頭 CM・イベントで一躍、全国区に
 企業がCMや販促にゆるキャラを起用する事例が増えた。出演料が安く済むうえ、固定ファンが付いているキャラを複数集めればタレント並みの広告効果が見込める。「一部のお笑いタレントは仕事を失った」(業界関係者)との見方もある。その背景には、自由に活動できる非公認キャラの増加がある。
 彦根市のイベントをまとめ、全国のキャラと接点拡大
 ゆるキャラ人気の火付け役となった「ひこにゃん」のお膝元、滋賀県彦根市に日本ご当地キャラクター協会の本部はある。「彦根に人を呼び込もう」と、07年にひこにゃんのぬいぐるみを企画し、さらに全国のキャラを集めたイベントを彦根市で開催することを市に提案したのが荒川氏。イベントを取りまとめるうちに全国のキャラとネットワークができ、協会設立に至った。「最近は自治体から『どうやったら人気が出るだろうか』という問い合わせも多い」という。
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荒川深冊代表理事の本業は彦根市での理化学機器販売。最近は協会の仕事のほうが忙しくなってきた
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