“千円カット店”に押される理容業界も注目!

 フレンチカットグランは、理容業界の一部からも注目されている。理容店「hair Flower」(東京都江戸川区)のオーナーで、全理連中央講師を務める小島正規氏によると、「QBハウス」に代表される千円カット店の増加で理容店の数自体は増えているものの、業界全体の売上高はかなり減少。経営が苦しくなっている個人経営の理容店も多い。

 本来は「顔剃りができるのは理容店だけ」「パーマ施術ができるのは美容室だけ」という法律上の規制があり、男性客は理容店、女性客は美容室という住み分けが自然にできていた。しかし近年の規制緩和でユニセックス化が進行。売り上げをアップさせるために「女性客を増やしたい」と考える理容店が多くなっている。「理容店のメイン客層である男性は平日昼間の来店が難しいが、主婦層なら平日昼間に呼び込めるので、収益アップにつながる。美容室と同じメニューでは女性客が理容店に来店する可能性は低いが、フレンチカットグランによる毛量矯正という特殊技術があれば大きなアピールポイントになる」(小島氏)。

 また理容店というと年配の男性客が利用するイメージが強いが、フレンチカットグランは若い男性層を取り込むためにも強みになるという。最近の若い男性は、ある意味、女性よりもヘアスタイルの注文が厳しく、しかも若い男性ほど髪が太く多い。彼らの要望で最も多いのが、「軽くして動きが出るようにしてほしい」「トップの髪を立たせたい」というもの。つまり髪は長いまま量感を調節したいということなので、同店ではフレンチカットグランが欠かせない技術となっている。

 理容店には「アイロンパーマ(アイパー)」という独自の技術がある。かつては“パンチパーマ”と呼ばれ評判が悪かったが、実はこの技術が進化しており、パーマをかけた感じのない自然な印象になるうえ、セットがとても簡単にできるため、理容店では利用する人が多い。同店でも朝の忙しい時間のヘアセットが簡単にできるワンポイントアイパーが人気だが、その際、事前にフレンチカットグランをしておくとパーマが均一にきれいにかかるそうだ。しかもパーマ液も少なくて済むので髪のダメージが軽減し、経費節約にもなる。カラーリングや通常のパーマでも同様。「一見違ったメニューのようだが、フレンチカットグランを入れてあることでほかの技術にも良い影響が出る」(小島氏)。

 全く逆のケースとして、年配客でトップ部分の毛量が減っている場合にも有効。毛量の多いサイドやバックにフレンチカットグランをしっかり行うことで、トップ部分の毛の量が少ないイメージをカバーできるという。

 「理容業界全体だとフレンチカットグランはまだまだ浸透しておらず、1%もないかもしれない。ただ現状に危機感を持ち、新技術を取り入れたいと考えている理容店も多い。フレンチカットグランはこれから理容業界でも浸透が始まるのでは」(小島氏)。

理容店の経営状況。2011年度の営業利益の前年との比較を聞いたところ、「減少した」が69%。減少した理由は「客数の減少」「低料金店の出現」「地域の人口の減少」など。「理容統計年報(第50集)」(2012年8月調査/全国理容生活衛生同業組合連合会編)より。調査対象は組合員5000人、回答率25.2%
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