国産ワインの売り上げが好調だ。2013年3月に国税庁が発表したデータを見ると(下のグラフ)、2007年、08年ごろからワイン市場には回復の兆しが見え始めているのが明らかに見てとれる。景気の好転も追い風となり、このままいけば90年代後半のワインブームの絶頂期である1998年の売り上げを軽く超えるのは間違いない。

国税庁「酒のしおり」(2013年3月より)
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「国産ワイン=日本のブドウを使ったワイン」ではない!

 ところで、「国産ワイン」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。

 世界各地の主要なワイン産出国では、ワインを定義する「ワイン法」がある。欧州の場合にはEUで定めたワイン法があり、「ワインは新鮮なブドウまたはブドウ果汁を醸造した酒」と定められている。一方、日本にはワイン法自体がない。つまり日本では「何がワインなのか」が法律で定められていないのだ。その代わり、一部のワイナリーが所属しているワイナリー協会という任意組織があり、そこが定める「国産ワインに関する自主基準」がある。

 それによると、国産ワインは「原料が日本産か海外産かに関わらず、日本で製造・販売する全てのワイン」を指す。さらに使用した果実の全部又は一部がブドウであればよい。ちなみに瓶詰めすることも製造したと見なされるようだ。

 言い換えれば、外国から持ち込んだ濃縮果汁を水で薄め、さらに砂糖も加えて発酵させても国産ワイン、原料全てがブドウでなくても国産ワイン、さらには海外から持ち込んだワインにこれらを混ぜても国産ワインになる。海外でワインを生産する主要国でワインとして認められていないものが「ワイン」としてまかり通り、海外産の原料を使っていても「国産」とされているのだ。

 近くのスーパーに出かけてワイン売り場を眺めてみてほしい。ワインの陳列棚で日の丸マークの付いた国産ワインのコーナーに並んでいるワインの大半は、実は輸入濃縮果汁を使ったワインだ(一つひとつのプライスカードにもご丁寧に日の丸が付いていることも多い)。

 なかでもひときわ目を引くのが、酸化防止剤無添加ワイン(一般的には無添加ワインと呼ばれることが多い)。昨今の消費者の自然志向の流れに乗り、この手のワインが売り上げを伸ばしている。

 メルシャンは2013年3月、海外原料を使った果実酒の生産量を500万ケースから600万ケースにまで引き上げることを発表。同社は、酸化防止剤無添加ワインの売り上げでは6年連続ナンバーワン。ワイナリーがない神奈川県の果実酒製成量が山梨県を抑えて1位に躍り出たのも、この手の果実酒を造るメルシャンの工場が神奈川県にあるからだ。

2011年、国税庁調べ
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