第一、第二の「波」はいつだった?

 アールアンドケーフードサービスの梅野直二社長によるとサードウェーブ以前、米国では2回のコーヒーブームがあったという。その1回目(ファーストウェーブ)が起こったのが19世紀後半。コーヒーの大量生産が可能になり、一般家庭や職場でもコーヒーが飲まれるようになって、浅煎りのアメリカンコーヒーが大量に生産・消費された。

 そうした状況への反発からか、1960~90年代に“深煎りムーブメント”が起きる。71年にスターバックスが開業し、タリーズなど「シアトル系コーヒーチェーン」がエスプレッソコーヒーにミルクを合わせる「カフェラテ」を武器に世界を席巻。これが「セカンドウェーブ」だ。

 サードウェーブは90年代後半から起こった動き。豆の産地を重視し、豆の個性を最大限に引き出す淹れ方を追求する新しいコーヒーカルチャーだ。これまでのコーヒーの銘柄は国単位で表示されているものが多く、いくつかの農園で生産されているコーヒー豆がブレンドされているのが普通だった。それに対し、サードウェーブで重視しているのが単1種の苗木から収穫されたコーヒー豆だけを使用する「シングルオリジン」であること。ブドウの生産地によってワインの味わいが変わるように、コーヒーも栽培品種・生産方法によって味わいが異なる。「ブレンドせずに単一のコーヒー豆を使うことで、ワインのように品種や土地の風土などの個性をダイレクトに味わえるのが、シングルオリジンコーヒーの魅力」(梅野社長)という。

 また世界最大のコーヒー取引業の団体SCAA(Specialty Coffee Association of America/米国スペシャルティコーヒー協会)によるコーヒーの格付けの新基準が運用され、品質の高い「スペシャルティコーヒー」の人気が高まるなど、世界的にコーヒーの楽しみ方に大きな変化が起こっていることも、新たなコーヒーカルチャー誕生の背景にある。

 田代珈琲(大阪府東大阪市)の業務用コーヒー販売部門が運営するウェブサイト「大阪スペシャルティコーヒー倶楽部」によると、「スペシャルティコーヒー」という概念が誕生する以前、コーヒー生産国では欠点豆の有無をチェックするネガティブ評価のみで、「おいしさ」などのポジティブな観点での評価は行われていなかった。しかしスペシャルティコーヒーという概念の出現以降、味のキャラクターをつかむポジティブ評価が行われるようになった。欠点豆がないうえに高い段階での評価が求められるようになり、消費者・生産者双方に意識の改革が求められるようになったのだという。