高速回転で発生するノイズの抑制がカギたった

 発表会にはDDM V4の研究開発を担当するマット・スティール氏が登壇した。

「DDM V4」の研究開発を担当するマット・スティール氏。右手(写真左)には新モーターの「DDM V4」、左手(写真右)には従来のACモーターを掲げている。ACモーターに比べてかなり小型化していることが分かる
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 「DDM V4は世界最小で1150Wという高出力を実現したモーターだ。強力なネオジム磁石と、複合制御アルゴリズムで毎秒6000回の制御を行うことでこの性能を実現している。この結果、DDM V4は最高で毎分10万回転が可能だ(使用時には9万回転)。これは、F1レースカーのエンジンの約5倍にもなる。これまでは満足できるパワーとサイズを両立したモーターは存在しなかったが、DDM V4の重さは従来のAC(交流)モーターの約半分だ。小型の掃除機には理想的なモーターができた」(スティール氏)

「DC48 モーターヘッド」のカットモデル
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 DC48は、最高で毎分10万1000回転もの高速回転が可能なブラシレスDC(直流)モーターDDM V4を採用することで、従来モデルのDC46よりも小型ながらDC46を超えるパワーを実現したモデルなのだ。

 シンガポールのDyson West ParkでDDM V4の製造に関する責任者として研究開発を担当するエイドリアーノ・ニロ氏は「毎分約10万という高速回転で発生するノイズを抑えることが大きなチャレンジだった」と語る。

シンガポールのDyson West Parkで「DDM V4」の製造に関する責任者として研究開発を担当するエイドリアーノ・ニロ氏(写真左)と、キャニスター掃除機に特化したデザインマネージャーとして、「DC36」や「DC37」、「DC48」などの製品開発を手がけたケヴィン・グラント氏(写真右)
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 「1つはノイズを抑えるために、エアフロー(空気が流れる流路)を工夫した。もう1つは製造面だ。10万回転もの高速回転に耐えるモーターを作るために、精度の高い生産ラインを作る必要があった。そのため、モーター製造は全自動化している」(ニロ氏)

 キャニスター掃除機に特化したデザインマネージャーとして、DC36やDC37、DC48などの製品開発を手がけたケヴィン・グラント氏はDC48のエアフローについて「従来モデルのDC46とは違ってかなり長いエアフローに設計した」と語る。

 「大容量のエアフローは大きなノイズを発生するので、モーターは中央に配置した。通常は前方から入った空気を後方に排出する仕組みだが、DC48では何度も空気の流れを反転させている。

 前方から入った空気を後方まで回し、180度反転させてモーターとファンに導く。ファンから排出される空気も前方で180度反転させている。排出された空気を『吸音フォーム』に通すことで、ノイズをさらに低減させた仕組み。さらに『吸音フェルト』で、ノイズを内部に閉じ込めるような設計になっている」(グラント氏)

中央が新モーターの「DDM V4」。前方から入った空気がボール上部を回ってモーターの背面から入る。モーターの前方から出た空気はボールの下部を回って下部にあるHEPAフィルターなどを通り、排気ダクトから出る仕組みだ
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サイクロン部の静音化やエアフローの最適化、吸音フェルトや吸音フォームなどによって静音化を実現している
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