「契約」と聞くと「契約書に印鑑を押すこと」と考えている人が多いかもしれない。

 実は、私たちは、朝起きてから寝るまで「契約」の連続の中で生活している。

 朝、起きて部屋の電気スイッチを入れると照明がつく、というのも電力会社と契約しているからである。電車に乗るために切符を購入するのも契約、コンビニでお弁当を買うのも契約、自動販売機でお茶を購入するのも契約だ。

 ここでは、特に事業者と消費者の間の「契約の成立」について、対面販売やインターネット通販における具体的な例をあげて注意点を考えてみたい。

契約の成立条件とは何か

 契約の成立に必要なのは、当事者間の合意だ。単純な例をあげてみると、コンビニでAさんが「このお弁当を下さい」と申し込み、店員が「お買い上げありがとうございます(はい、わかりました)」と承諾する。これが「当事者間の合意」だ。これで契約は成立したことになる。契約の成立には契約書を作成することは必要ではない。

 いったん契約が成立すると、原則として一方的な意思でやめることはできない。

 購入したお弁当を家に持って帰ったが、家にはお昼ご飯が用意してあった。必要なくなったからといって、そのお弁当をコンビニで返品したいと申し出ても通常は認められない。

 お弁当のような食べ物を返品したいと申し出る人は少ないだろうが、店舗で購入した商品をレシートと一緒に持って行けば返品・交換してもらえるケースがあるからか、購入した商品を返品・交換してもらえるのが当然と考えている消費者が意外に多い。

 店舗で購入した場合、購入者の都合による返品・交換に応じるかどうかはあくまで店舗側の判断だ。