「アマゾンは本当に安いのか?」この疑問を解決するために、編集部ではある“実験”を試みた。そこから浮かび上がってきたのは、我々の想像をはるかに上回るアマゾンの異常な値動き。ここではその一部を紹介したい。「日経トレンディ」4月号(3月4日発売)の巻頭特集「楽天、アマゾン、ヤフーを使い倒す!」では、ネット通販の「3強」を徹底分析し、攻略テクニックなどを網羅した。

 今年2月に、日本での年間売上高が約7300億円(78億ドル、2012年12月期)であることが明らかになったアマゾン。楽天は流通総額こそ年間1兆4460億円だが、売り上げ自体は店子からの手数料中心のため、同期の売上高は4434億円にとどまる。アマゾンの直販スタイルの強さが、改めて認識されたことになる。

 自ら大量に商品を仕入れ、巨大な物流倉庫から原則無料で配送するアマゾン。スケールメリットを生かした直販スタイルで、消費者の間にも徐々に「アマゾンは安い。送料も無料なのでいつ買っても安心」というイメージが定着しつつある。当初はネット書店として使っていたが、最近は家電や玩具、食品、日用品までアマゾンでそろえる人も多いのではなかろうか。

 では、アマゾンは本当に「いつも安い」のか。結論から言えば、これは全くの間違いだ。アマゾンの価格は、リアル店舗ではありえないほどの異常な乱高下を繰り返す。これを示すために、ある“実験”を試みた。本誌2013年4月号「楽天、アマゾン、ヤフーを使い倒す!」では、その全貌に加えて、賢く買うための攻略法をすべて掲載したが、ここではそのさわりを紹介しよう。

大暴れする「ブラシ」と「ペンキ」

 実験初日の1月28日。5000万種類以上ある商品群から“検体”として目を付けたのは、ベンジャミンムーアペイントの「プロフェッショナル 水性 フラットブラシ 平刷毛 2インチ」。在庫11点、価格は147円とある。

 実験の前に本誌が立てたのが、「在庫の点数と値動きに何か関係があるのでは」という仮説。在庫が比較的豊富なフラットブラシを毎日1個ずつ購入すると、価格にどういう変化が起きるのか、試してみた。

 28日、まず1個購入。当然ながら在庫は1つ減り10点に。すると翌29日に137円になる。10円の値下がりだ。

 幸先のいいスタートを切ったが、3日目の29日、早速予想外の出来事が起きる。買おうとしたときに、すでに在庫が9点に。“ライバル”の出現なのか、はたまた他の理由なのかはわからないが、在庫が1点減ってしまっていた。ただ当初の作戦は変えずに1本購入したところ、価格はさらに下がり133円になった。

 1月31日、135円(在庫7)。2月1日、131円(在庫4)。価格は在庫が減るにつれて小刻みに動くが、小幅な値動きにとどまっていた。だがついにその瞬間は訪れた。2月2日、それまでと同じように1本購入し、在庫が2点になったところで、表示された価格は「1482円」。驚くべきことに、いきなり10倍もの値を付けたのだ。戸惑いながらも1本購入したところ、翌3日には1500円にまで上昇。価格は在庫0になっても変わらず、12日に「在庫豊富」と表示されるようになっても1500円のままだった。

131円だったフラットブラシが、翌日には1482円に跳ね上がった
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編集部で購入したのは1日1本。他にも購入者がいたためか、1日2本以上売れた日もあった