この記事は「日経トレンディ2013年2月号(1月4日発売)」から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

アップルが参入したことで話題になっている電子地図。スマートフォンの普及で外出先でも欠かせないものになっている。なぜ電子地図の開発を各社が急ぐのか、そこにどんな可能性があるのか。関連市場も含め10兆円規模といわれる電子地図ビジネスの現状と未来を探った。

 2012年12月13日、米アップルのiPhone 5が採用するOS(基本ソフト)であるiOS 6に対応した「グーグルマップ」が、アプリダウンロードサービスのアップストアで公開された。ダウンロード数はうなぎ登りで、数時間後にはアップストアの無償アプリ部門のランキングでトップに躍り出た。

 これまでiOS向けの「マップ」に地図を供給していたグーグルは、アップルがiOS 6から自社開発の地図をマップに使うことを決定していたため、対応を見送っていた。しかし一方で、アップルが開発したマップの完成度があまりにも低かったことから利用者の不満の声が噴出し、グーグルマップの対応を望む声が高まっていた。

 業界では「スマートフォンでアップルとライバル関係にあるグーグルが、iPhpne 5に対応するのだろうか」との声も聞かれたが、グーグルの牧田信弘プロダクトマネージャーは、「世界中のあらゆる情報を整理し、OSやブラウザーに依存しない形で利用者に届けるのがグーグルの使命。利用者の多いiOSに対応するのは当然の流れだった」と語る。むしろiOSに対応しなければ、巨大なマーケットを放棄することにもなる。

 ダウンロード数が増えているのは、グーグルマップだけではない。iOS向けに地図アプリを供給する国内のサイトは、どこもおしなべて好調だ。

 「マップファン」ブランドでさまざまな地図を提供するインクリメントPの馬場純マネージャーは、「想定以上にダウンロード数が伸びており、マップファンの認知度も高まっている」と話す。「これまで標準で付いていたグーグルの地図で満足していた利用者が、それがなくなって初めて不便さに気づき、地図を探す旅に出ているのでは」と分析するのは、地図検索サイト、マピオンの山岸靖典マネージャーだ。

 アップルの地図騒動は、iPhoneの利用者が他の電子地図に目を向けるという副産物も生んだわけだ。

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