宅配ピザチェーンの老舗ドミノ・ピザ ジャパン(以下、ドミノ・ピザ)のネット企画が、若者世代から注目を集めている。昨年秋からは全国のアルバイトから有志を募り、ボーカロイドと呼ばれる音声合成ソフト「初音ミク」で「ボカロ曲」を作るネットイベントを実施。自社サイトや各種動画サイトに掲載して計4万5000回のアクセスを集めるなど話題になっている。宅配ピザチェーンとボーカロイド曲は結びつきにくいが狙いはどこにあったのか? ドミノ・ピザ ジャパン マーケティング部 広告販促課の唐澤淳氏に聞いた。初音ミク権利元であるクリプトン・フューチャー・メディアへのメールインタビューと併せて読んでいただきたい。

――具体的にはどんなイベントなのですか?

唐澤:「初音ミク」が登場する音声合成ソフト「VOCALOID(ボーカロイド)」を使い、弊社で働く全国のアルバイトクルーから有志を募ってオリジナルの“ボカロ曲”を自主的に作ってもらいました。これを自社の特設サイトとYouTube、ニコニコ動画などの動画サイトで発表しています。現在は関東、関西、九州などから10名以上のアルバイトが集まってチームを作り、楽曲のプロモーションムービーを制作したり、その曲に合わせてダンスをする“踊ってみた”動画を公開しています。弊社本部からは何の指示もなく、制作楽曲もドミノ・ピザと関係なくていい。まったくの部活感覚ですね。

――始めたきっかけは?

唐澤:ドミノ・ピザは老舗の宅配ピザチェーンですが、メインカスタマー層は、競合他社と比べるとやや男性寄りで、やや年配寄りです。若年層や女性の利用者をさらに増やすためにTwitterなどのSNSに強い層を獲得しようと考え、アニメ『TIGER & BUNNY』とタイアップしたキャンペーンを2012年8月より実施しました。ドミノ・ピザでしか手に入らないグッズを付けたピザセットを売り出し、3回そのセットを注文していただくと、もれなく声優の声で起こしてくれるオリジナル目覚まし時計をプレゼントする、というものです。このときに感じたのが今の時代は幅広い層が知るコンテンツより、熱心なファンに支えられているニッチなコンテンツが侮れないということです。今回も当初は、同様の趣旨で、ニッチな層からブームが発生し、今では若者層に世界的人気となったボーカロイドキャラクター「初音ミク」との商品タイアップが狙いでした。

 そこで初音ミクの権利元であるクリプトン・フューチャー・メディアさんに問い合わせたところ、“初音ミクはファンの創作活動のためのキャラクターなので、まずは他のユーザーと同じように初音ミクを使った創作活動をしてみては?”という返事がありました。正直、最初はムチャをおっしゃるなぁと思いましたが(苦笑)、「成功するかどうかは分からないが、とりあえずやってみる」のチャレンジ精神でゴーサインを出しました。

ドミノ・ピザ ジャパン マーケティング部 広告販促課の唐澤淳氏

 どんな施策にせよ、今は何事もやってみなければ結果が分からないご時世じゃないですか? お客様も私どもも一緒になって、「ドミノ・ピザ、こんなこと始めて大丈夫なのか?」というハラハラ感も含めて楽しんでいただきながら、おバカな企画に共感してドミノ・ピザのファンになっていただきたかった。正直、社内各所にボーカロイド文化を説明するのは大変でした。初音ミクが世界的に人気といっても、やはりそのターゲットはネット文化に慣れ親しんだ若年層。「なんだそれ?」という反応は社内にも当然ありました(苦笑)。