低価格の日本産スパークリングワイン(日本のブドウ100%のスパークリングワイン)が人気だ。前回はこの市場における大手ワイナリーの戦略にスポットを当てたが、今回は中小ワイナリーの動きを見てみよう。

 そもそも日本で初めて日本産スパークリングワインを本格的に商品化したのは大手ワイナリーではなく、北海道池田町にある中規模ワイナリー、池田町ブドウ・ブドウ酒研究所だった。今から27年前の1985年、フランスのシャンパーニュ地方と同じ製法で造った「ブルーム」というワインを販売した。ところが、しばらくはこれに追随するワイナリーは出てこなかった。

 1990年代になって、エーデルワイン(岩手県)、タケダワイナリー(山形県)、カーブドッチワイナリー(新潟県)、ココファームワイナリー(栃木県)といった中小のワイナリーがスパークリングワインを発売。エーデルワインを除く全てが瓶内二次発酵方式を採用。エーデルワインが採用したのは、前回のマンズワインが「酵母の泡」を造った際にとったキューブ・クローズ方式だった(瓶内二次発酵方式、キューブ・クローズ方式については前回の記事を参照)。

 つまり、日本で瓶内二次発酵方式のスパークリングワインを、改良を重ねながらこつこつと造りつづけてきたのは、中小のワイナリーなのだ。ちなみに、タケダワイナリーは洞爺湖サミットで、ココファームワイナリーは沖縄サミットで、それぞれのスパークリングワインが食事会に使われている。

 2000年代に入ると、山梨県の機山洋酒工業が、初めて日本唯一の伝統品種である甲州種(甲州ブドウのこと)を使ったスパークリングワイン、「キザンスパークリングトラディショナルブリュット」をリリース。コストパフォーマンスの高さもあって、このスパークリングは同ワイナリーのロングセラーとなっている。そして今ではこれに追随し、甲州種で造られたスパークリングワインが激増している。おそらく20アイテムを超えるだろう。

 一方、前回大手の取り組みとして紹介した炭酸ガスを注入して造る日本産スパークリングワインを、2002年にいち早くリリースしたのが北海道ワイン。ただし、こちらはガス圧が少し弱いタイプだった。北海道ワインは現在、6アイテムをリリースしており、なかでも「おたるナイヤガラスパークリング」は年間5万本を販売する人気商品となっている。同社がスパークリングワインを開発したのは、ワイン市場が停滞気味だった夏の商材として、爽やかさを感じさせるワインが求められていたことも背景にあったという。

「キザンスパークリング トラディショナルブリュット」(機山洋酒工業、ワイナリー直販価格2800円)。甲州種を使った瓶内二次発酵方式によるスパークリングワイン。きりっとした辛口できめ細やかな泡立ち。この値段とは思えない上質感
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「おたるナイヤガラスパークリング」(北海道ワイン、1649円)。北海道ワインの定番商品。香りが華やかな品種ナイアガラを使用。ほのかな甘口で北海道で開催されるイベントなどでも大人気
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