「ジョジョ立ち」はマネできないはずなんですが(笑)

編集部:先ほどの絵の話ですが、イタリアの芸術を実際に見て、かなり影響を受けたということですが、「ジョジョ立ち」と呼ばれる特殊なポージングは意図的に開発されてきたのですか。

荒木氏:マンガの絵ってただ立っているとつまらないけど、ちょっとひねったりするとすごく非日常的なファンタジー感が生まれてくるんですよ。ストーリーにあるリアリティーの中のファンタジーというか、それがマンガ的でいいんですよね。ポージングはイタリア美術がすごく参考になると思ったので、その辺を絵にしようと。特に、イタリアを舞台にした第5部の「黄金の風」では、意識してポージングを開発していた気がする。でも、「ジョジョ立ち」は本来、人ができないポーズを考えているのに、それをみんながやっているというからビックリしましたね。作者としては完全に予想外です。

編集部:イタリア芸術の他に影響を受けてきたものはありますか。

荒木氏:今の映画のポスターは写真ばかりですけど、昔のハリウッド映画のポスターはイラストだったんですよ。「スタートレック」などを描いたボブ・ピーク氏とか、SFやファンタジー作品の挿絵で有名なフランク・フラゼッタ氏とか、子供の頃から彼らのイラストを見ていて、非常にワクワクする絵だったんですよね。「ジョジョ」の表紙などを描くときは、そのワクワク感を忘れないように一枚絵としてのインパクトを大切にしています。「ジョーズ」とか、「007」のポスターを見たときの、これ何が始まるんだろうという感じをジョジョでも出したい。

編集部:「ジョジョ」の表紙では、主人公の髪が金髪だったり、青だったり、服の色やデザインもいろいろ変わりますが、それが一枚絵としての印象を強めていると思います。

荒木氏:そうですね。「ジョジョ」って固定の色がないですよね。「ジョジョ」はこれまでテレビアニメになっていなかったので、色をわりと自由に使えるんです。絵を描いていると何か今までにない新鮮な感じがバァーっと頭の中に降って来るときがあるんですよ。紫とか、エメラルドグリーンを塗ったとき、オォーっこれ良い色だとか思って。「承太郎、これでしばらく行こう」みたいな(笑)。あと、僕の中で無敵の組み合わせというのは、「桜色」と「青空の色」ですね。ここぞという絵では、使います。

「ジョジョ立ち」や、特徴的な「ジョジョ語」はあまりにも有名。第5部の「黄金の風」でブローノ・ブチャラティが言った「アリーヴェ・デルチ!(さよならだ)」は、ファンの間で別れの挨拶の定番に (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社