このシリーズ「ロングセラー商品 未来への布石」では、長年ヒットを続けている商品やブランドに焦点をあて、これまで市場で支持されてきた理由や今後の成長のための新たな戦略などをリポートする。

よりおいしさを追求するために製法に細かな改良を加えてきた

 1976年の発売以来、スナック感覚で食べられる煎餅として親しまれている亀田製菓の「ハッピーターン」。中はふんわりサクッとしており、きつね色に焼けた香ばしい表面には、“魔法の粉”の異名をとる「ハッピーパウダー」がまぶしてある。醤油でも塩でもコンソメでもない、それまでになかった独特の風味は「ハッピーターン味」として味覚の新ジャンルを築いた。一度食べたらクセになるおいしさに“中毒者”が続出。自ら応援歌を作って公開した歌手の広瀬香美さんら熱烈なファンも生み出している。

右の「ちょこっとチーズ味」は、ハッピーターンの味を残しながらチーズの風味を加えたため、「チーズ味」ではなく現在の商品名に
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従来より高グレードの材料で作った生地に、ハッピーパウダーをベースとした味を施し、その上に和三盆や京都の宇治抹茶、メイプルなどをかけている「ハッピーターンズ」。店頭でパウダーをかけるサービスも
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 36年間愛され続けているハッピーターン。その誕生は米菓に革命を起こした。技術開発部長の村井龍昭氏は「今考えると、よく企画が通ったなと思うくらい、当時は斬新なものでした」という。煎餅といえば丸くて硬くて、味は醤油かサラダ(塩味)しかなかった時代に、ハッピーターンは『欧風せんべい』というコンセプトを打ち出した。食べやすい硬さのスティック状に仕上げ、まったく新しい味で勝負に出た。キャンディのように一本ずつ包装したり、パウダーで味を付けたりするのも、当時の米菓では珍しいことだった。「煎餅なのに粉で味を付けるなんてとんでもない」。そんな批判もあったが、着実にファンを獲得し、「亀田の柿の種」に次ぐ主力商品に成長していく。今や同社のメインである「亀田の柿の種」に次ぐ、稼ぎ頭である。

 ロングセラーの理由は、よりおいしくなるように改良を続けてきたから。2002年には原料のうるち米に割高なもち米を配合し、風味をアップ。アルミ包装から、商品が見える包装に変え、10g増量したことで売り上げをグンと伸ばした。05年には旨みであるパウダーをしっかり付着させるために生地に溝を作っている。07年には表面をざらつかせる改良を施し、さらにパウダーの付着量を増やしている。その後も生地の幅を広げ溝を増やすなど、おいしさを求めて微調整を重ねている。

 遊び心も忘れてはいない。店頭に並ぶパッケージをよく見ると、キャラクターのターン王子のポーズが違うことに気づく。「ポーズは4パターンあります。個包装の印刷は112種類。お客様に楽しんでいただきたくて始めました」(同)。オイルショックの不況中に登場したハッピーターン。名前には「日本に幸せが戻ってくるように」という思いが込められている。今度はその幸せを大切な人と分かち合ってほしいという願いを込めて、初のショップとなる「HAPPY Turn's(ハッピーターンズ)」を10月25日に阪急うめだ本店(地下1階)にオープン。贈答用の新しいラインアップとともに、新たな一歩を踏み出す。