Bluetoothの何がダメだったのか?

 ところで何故「Bluetoothは音が悪い」と言われるのだろう? その原因は、ほぼBluetooth標準のオーディオコーデック「SBC(Sub-Band Codec)」にあると言っていい。

 Bluetoothの音楽再生時には、このSBCコーデックにオーディオ信号が変換されて送信される。このコーデックは、処理の負荷が低い半面、変換時のロスが大きい。実際、高域成分が欠落し、「ジリジリジリ」というモジュレーションノイズのようなものが入ってしまうなど、有線接続とは比べられないクオリティになってしまう。

 さらに問題なのは遅延の大きさ。オーディオ信号の入力から実際に再生されるまでに時間差が生じるのだ。時間にして0.2秒ほどだが、これが決して馬鹿にできない。音声だけの場合はいいが、ライブ映像なら、演奏者の動きと実際に出てくる楽音とのズレが気になる。映画なら役者の唇の動きとセリフが合わない。ゲームの場合は、まったくプレイにならないものもあるだろう。

 この遅延に関して言えば、apt-Xをライセンスする英CSRの資料によれば、計算上は1.89ms(0.00189秒)以下だという。人間が音のズレを感知するのは、0.03秒台前後からと言われているので、もしその程度ならばまったく問題ないはずだ。

 では、それほど優れたコーデックが存在するのに、なぜSBCコーデックが使われ続けているのか。BluetoothのオーディオプロファイルであるA2DPではSBC以外にも、MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4、AAC、ATRACが使えることになっているし、それ以外の独自コーデックを組み込むこともできる。それでもSBC以外が普及しないのは、SBCがA2DPで必須とされ、かつロイヤリティーフリーで使えるからだろう。要するに余計なコストがかからないのだ。

 また、apt-X/AACコーデックを採用したヘッドホンも、これまでにいくつか存在した。ただ、それらのどれもがヘッドホン本体のクオリティが低く、コーデックの品質に見合うのものではなかった。

 そこにコーデックの質を活かせる製品がやっと現れた。それがharman/kardon BTというわけなのだ。

harman/kardon BTはBluetooth 2.1+EDRに準拠。ハイファイオーディオ再生用のA2DPプロファイルだけでなく、リモコン操作のAVRCP、ハンズフリー通話のためのHSP/HFPにも対応。左ハウジング前側面に通話用のマイクホールもある
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ハウジング側面にリモコンボタンがある。上下が音量。真ん中のボタンは通話と選曲を兼用。非着信時に1回押すと再生/一時停止、2回押すと曲送り、3回押すと曲戻し
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